笛!夢

□その他笛メンバー夢
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─数日が経って、日光はやがて来る夏を連想させる程に、それどころか既に夏が訪れたように地面に降り注いでいた。練習がない日が基本的にないサッカー部は、その日も太陽に曝されながら、グラウンドを駆け回っていた。三上と##NAME1##の事があっても、俺のプレイはいつもと変わりなかったように思う。実際、監督やコーチからの注意の数も、いつもと大して差はなかった。##NAME1##の行動には落ち込んだが、彼女を好きになってから同じような事は頻繁にあり、##NAME1##が三上を好きな気持ちを見せた事に対して一々動揺していれば、とうに俺は二軍落ちしていただろう。

「はい、克朗。脚大丈夫?」
「ああ、ありがとう」

タオルを渡しながら、少し前に軽く脚を痛めた渋沢を##NAME1##が気遣う。気付くと、暑かった陽射しも弱まり、既に西の方に紅い太陽が沈み始めていた。今日の練習もあと少しで終わると、できるだけいい方に思考を向けて気を紛らわす。俺以外の部員には彼女は明るく、また時には優しく接する。俺が一体##NAME1##に何をしたのかと、心当たりのない疑問に密かに苛立った。

「中西、どうしたんだよ」

三上に肩を叩かれて我に返る。拳を強く握り、##NAME1##と渋沢がいる方を、##NAME1##の方を、身動がずに睨みつけていた事に気付いて顔を顰めた。

「別に何でもないわよ〜。心配してくれてるのね、秀子嬉しいっ」
「気持ち悪いんだっつうの、おい」

ふざけて三上の首に腕を回すと、三上は煩わしそうに体を離した。

「中西、止めてって言ってるじゃん…亮に近付かないでよ」
「何でよっ。あんたに指図される覚えはないわよ、私はみかみんが好きなんだから」

そんな風に道化の言葉を吐く度に、自分の事がいい加減嫌になるのは分かっている。しかし同時に、それは##NAME1##の気持ちや行動からの鎧にもなるのだった。

「──##NAME2##?」

ふと##NAME1##の顔を見ると、その表情は激情に歪んでいた。何事かと思う前に、##NAME1##は校舎全体に響くような声を上げて泣き始めたのだ。
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