×××××
□刹那
1ページ/1ページ
あの日………
俺から一つ匂いが消えた。
決していい匂いじゃなく寧ろ健康的にも良くない匂い。
でも落ち着く匂いー。
煙と一緒に纏わりついて離れなかった匂いは時が経つにつれて薄くなる。
あの日……
初めて匂いの元になる煙を肺にいっぱい吸い込んで噎せかえって……でも落ち着いた。
取り戻せない時を惜しんで何度も何度も口にした。
もう二年。
アンタに託された色んなもんを託す為に俺も頑張るから…今だけ……今日この一時だけあの頃みたいにダダこねるのを許して下さい。
アンタにって持って来た煙草に火を付けて涙と一緒に思いっ切り吸い込む。
アンタの匂いに包まれて俺はやっと安堵した。
2008.10.23.