話
□healing and reward
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healing and reward
いつもの帰り道。チャドと歩いていると明らかに不良と宣言しているような背格好の男が10人、いや20人はいるか。
前方に先に行かせまいと立ち塞がっていた。
「チャド、右な」
「ム」
その一言で一気に二手に分かれると自分は左半分を蹴散らす。
いつもならまぁ殴られはするが一通り倒せていたのだが今日は少し違っていた。
「・・・・ッ!」
油断してなかったといえば嘘になる。
赤い液体がはらはら舞った。
それに気付くとチャドは自分が片付けていたものを一気に片しこちらへ向かってきた。
「一護!」
そしてこっちの分も一気に殴り倒し近付いてきた。
「悪い、ちょっとヘマした」
「すぐ止血する」
そういってチャドは自分の鞄から応急箱(いつも持っている)を取り出すと
素早く軽く切りつけられた腹の傷口に消毒を施した。
「大丈夫か?」
包帯を巻きながら問いかけられ
「これ位なんともないって」
ひらひらと手を振って平気と告げた。
「無理はするな、帰ったらすぐに一心さんに診てもらえ」
「わかってる」
とは言ったものの親父に見せる気はさらさらない。
診せた
ら妹たちが心配するに決まっているから。
チャドと別れ、俺はこのまま家に帰るか迷っていた。
いつも通りあそこに行くか・・・・・
いつもなら門限前まで居候して帰るという行動をとるのが普通になっていた。
しかし、今日はこれ。
こんなもんばれた日にはあいつが何ていうかわかったもんじゃない。
だから帰ったほうがいいよなと普段なら思うのだが
昨日テッサイさんが嬉しそうに帰り際にちょっとした約束をしてしまったのだ。
「明日美味しいお菓子が手に入るのでぜひお越しください」
と。
これでは行かないわけには行かない。行かなかったらテッサイさんががっかりするかもしれない。
あいつはどうでもいいとしてもテッサイさんに悪い気分にさせるのはちょっと気が引ける。
散々迷った末いつものお店に行くことにした。
とりあえず、ばれなければいいんだと言い聞かせて。