話
□春待ち苺st3
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春待ち苺 st.3
泣いた次の日から俺は探すのをやめた。
考えるだけ苦しいだけだから。
思い出しそうになる度何か違うことに没頭してごまかした。
ただそうするようにしてから酷い頭痛に悩まされるようになった。
風邪だと思っていたけど、頭の痛み以外症状はないし、親父に貰った薬を飲んでも
改善される気配がなかった。
それと時々声が聞こえるようにもなった。
消えそうなほど小さい声だから何を言ってるかまではわからないけど
耳に直接響く。それがまた頭の痛みを助長する。
*
「一護、ちょっといい?」
お昼休憩に飲み物を買いに行こうと思った矢先に水色に止められた。
「いいけどどうした?」
「最近、一護変だったから大丈夫なのかなと思って」
「…変って?」
水色はいつも鋭いから今回も気付いているだろうとは思っていた。
でも普段はあまり口には出さないで態度で表していたから少し反応に困った。
「ぱったりと探さなくなったなと」
「…!」
まさか鋭いとはいえそこまでわかるものなのか。自分はそんなに
わかりやすい行動をとっていたのだろうか。確かに周りが見えてなかったから
実際バレバ
レだったのかもしれない。
でもここまで言い当てられると二の句が告げない。
「もう探さなくていいの?」
いいわけない・・・ないけどもうここにもソサエティにもいないし。
黙りこくった一護に水色低い声で小さく呟く。
「いい加減目を覚ましたら?いつまでこのぬるま湯の中にいるつもり?…一護」
「え?何か言ったか?」
「うんうん何でもない、探し物、見つかるといいね」
「あ、あぁ…」
お昼休みが終わって午後の授業が始まっても集中出来るはずもなく、
ただただ流れていくばかりだった。