□春待ち苺st4
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春待ち苺 st.4








「黒崎サン」









戻らない方がいいかもしれないと思いかけたその時、声が降った。

「…浦原?」

違う、こんな所に浦原がいるわけない。

これは俺が許されたくて作ったはけ口だ。

「…一護サン、戻ってきて」

「…」

「本当に嫌だと思うのなら止めません、でもその原因がアタシならば気に病む必要はない」

「気に病むなって言われたって…!」


俺のせいで。


「出来ないでしょうね、キミは優しいから」

そんなこと。だって俺は怖くてお前を捨てて逃げ出した。そんな俺が優しいはずがない。

「だからね、キミはアタシに対して負い目を感じても全然構わない、それでアナタの気が済むのなら」

「…?」

「ずっと考えていればいい、そうしてアタシだけの事を」

そこで一旦区切りまた続ける。

「そうすればアナタはアタシから離れられないでしょう?」

「…」

「ねぇ黒崎サン…アタシといる覚悟は出来ていますか?中途半端なままじゃないんですか?」



その言葉に首を横に必死に振る。中途半端でここまで自分が思い詰めるはずがない。

離れたくなかったからこんなにも悩ん

だのだし。

「覚悟があるのならいつまでそこにいるつもりなの?そんな小さな枷などキミの全てを縛り付けられるものじゃない」


キミを縛り付けられるのはアタシだけ。

枷は言われた通り、容易く外れた。


「…一つ聞きたいんだけど」

「ん?」

「アンタは…本物の浦原なのか?」

「さぁ、どうでしょう?」

確かにアタシは君に作られたマガイモノ。でもきっとほぼ本物に近い。

だって一番キミが本当のアタシを知っているだろうから。

本物だって恐らく同じ事を言うだろう。アタシの役目はここまで。


「有難う…浦原」


「いえいえ、大事なお得意さまですし、何よりも大切なあなたの事ならいつでもどこへでも助けに伺いますよ」

にっこりと微笑みながら頭の中では、いっそ本物をやめてアタシにしたら?なんて考えている。

それを実行に移してしまう前に、彼が何かを言いかける前に彼の背中をとんと押した。



「え…?」



瞬間地面がふっと消えた。

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