□クリスマス当日の二人1
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クリスマス当日の二人


待ちわびていた日。

あまりよく眠れなかった。

待ち合わせは九時に店へ。

まだ会う前なのに今から緊張している。

外は微妙に曇っていて、天気予報によると1日こんな感じらしい。

どうせなら晴れ渡っていてくれたらよかったのに、と思った。


『ところによっては雪が降るかもしれません』

一護はその言葉を聞かずにテレビを消し外へ出た。

冬らしい突き刺さるような寒さに出てすぐに包まれ、思わず家に戻りたくなる。

でも今日は大切な日だから、あの人と過ごす大切な日だから。



自然と足取りも軽く早歩きで店へ向かうと、テッサイさんが外で開店の準備をしていた。

「お早うございます」

「お早うございます黒崎殿、お待ちしておりました」

ささ、と中へ促されると浦原が立っていた。普通の格好をして。

下駄もない帽子もないよく見ると無精髭もない。いるのは普通の格好をした浦原。


(う、わ)


「オヤ、黒崎サンお早うゴザイマス」

「あ、ぅ、はよ…」

「どうしたんすか?黒崎サン、どもっちゃって」

ひょいと顔を覗き込まれ、

「わ…っ」

「?」

思わず後退りをすれば訝しむ浦原。

一歩

近づくとつい一歩下がってしまう…だって。

「アララ、いつの間にこんなに嫌われちゃったんでショ」

「違…ッ」

「…もしかしてこの姿に見惚れちゃったとか?」

「…ッ」

「な〜んてねってアラ?え…そうなの?」

あまりに図星で言葉もなく俯いた自分の行動に驚きつつも

ほんとに?と何度も聞き返してくる。

「じゃあ普段もこれでいようか「駄目!」

「え」

「そっそれは…駄目、だ」

「どうして?一護サンこの格好いいんでしょ?」

「いいけど駄目…!も、行くぞ!」

「ええぇ、ちょ、待って下さいよ黒崎サーン」



「店長てたまに鈍いよなぁ」

うんうんと頷く子供二人にとテッサイ。

子供たちに言われてるとも知らない二人は駅までの道をのんびりと向かった。


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