□クリスマス当日の二人3
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クリスマス当日の二人 st.3



「黒崎サン、アタシは黒崎サンしか見えてないから。黒崎サンもそうでしょ?」

こくりと小さく頷く。

「周りがどう見てたってアタシたちが気にしなければいないのと一緒じゃない?」

こくり。

「だからまたデートしましょ?」

こくん。

「じゃあそろそろ店に帰りましょっか、とその前に」

「?」

「はい、虫除け」

そう言って、一護の左手を取ると薬指に銀色に光るリングがはめられた。

「え…」

「これで黒崎サンに寄り付くものは減るでしょ?」

「いねぇよ…」

「全く本人に自覚がないから困るナァ」

「いや、俺なんか可愛いて思うのはお前だけだから」

「イイエ!その照れて赤くなった表情!上目遣い!
危ない行動が多すぎて何度ひやひやさせられるか!」

「…考えすぎ」

「そういうわけですからそれ、いつもつけてないと駄目ッスよ?」

「な、む、無理…!」

そんなことしたら水色や啓吾になんて言われるか。特に啓吾。

こんなもん見た日には1日延々と後ろから何故だー!とか

裏切りものめーとかお前もか!とか散々大騒ぎされるのが目に見える。

「いいじゃないッスか〜それくらい」


人事だと思って…!

つけてーつけてーと歳に似合わない甘えっぷりで、強請る浦原。

「…っ、これならいいぞ」

と、自分が付けていたネックレスを外し、そのチェーンにリングを通して見せた後、また指にはめ直す。

「お前といるときは指に、はめる…から」

「…それじゃ虫除けの意味ないんスけどね、ま、いいですよ、身に付けてくれるだけで嬉しいですから」


考えてみたらこれはクリスマスプレゼントか。虫除けの意が自分の中で強すぎて、

すっかりそこまで頭が回らなかった。


「あ…浦原…その、アリガトな」

「いえいえ、黒崎サンが喜んでくれて良かったですよ」

「俺も、お前が喜んでくれて良かった」

ゆっくりと微笑みあうと一日暗かった空から何かが降ってきた。


「あ…」

「雪…」

クリスマスの日に雪が降るホワイトクリスマスなんて最近ではそうそうあるものではなかったけれど。

ただ、たまたま降ってるだけなのに嬉しくて。

また二人で顔を見合わせ笑った。



暫く立ち止まって上を見上げた後、寒くなってきましたし帰りましょ、と

浦原が手を握りしめてきた時、ちょっとした違和感があったので、

そ、と握り合う二人の手

を見ると



銀の輪が二つ光っていた。


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