小説 連載byなつ

□ANGELが舞い降りた日
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〜OPENING〜
私は、部活でとても疲れていた。いつものように、真希と帰っていた。
「なんか、秋って感じじゃないね。まだ夏が残ってて。」
と私が言ったら、
「だけど、今日はまだ九月一日だよ。これからだよ。」
と明るい声が返ってきた。そういえば、明日の九月二日は真希の誕生日だ。
「じゃ、また明日ね。」
別れを告げ、空を見上げてから、家に向かった。
「たっだいま〜!」
ああ、スッキリ!私は明日真希に上げるプレゼントをもう一度見てみた。うん、悪くないじゃない。私にしては良くできた方だわ。包むの大変だったなぁ。
「あ、プレゼントじゃない。やるわねぇ、男の子から貰ったの?」
声の主は沙里姉ちゃんだった。
「違うよ、明日友達にあげるプレゼントだよ。」
「なぁんだ、期待して損しちゃった。まっ、由里の事だからそんな事だろうなと思ったけどね。」
「どういう意味よ、それ!」
そんな会話の後、明日が早く来ないかなと思いながら、眠りについた。早く真希が喜んだとこみたいなぁ。
次の日―私はいつものように真希と登校した。帰りにプレゼント渡そう。あれこれ話していくうち、後ろから声がかかった。
「由里先輩、真希先輩。おはようございます。」
後輩の、未来君だ。
「おっはよ〜。」
「おはよう、未来君。」
「あ、あの、真希先輩……。」
そこまで言って、急にもじもじして、黙ってしまった。
「なに?」
真希がそう言うと、思い切ったように未来君はズバッと言った。
「他の先輩から聞きました。お誕生日おめでとうございます。これ、僕が作ったマスコットです。よかったら使ってください。なかに手紙入ってるんで、読んでください。」
「わぁっ、器用なんだね。ありがとう。」
真希が笑顔を見せると、照れくさそうに未来君は言った。
「僕、こういうの好きなんです。本当は家庭家部に入ろうかと思ってたんですけど、男の子がいないって聞いて…。唯一スポーツで好きなテニスにしたんです。」
「ヘェ〜。あ、手紙って今読んでいい?」
「あっあの、恥ずかしいんで、後で読んでください。ではお先に行ってますね。」
顔を真っ赤に染めた未来君は、とってもかわいかった。
「よかったじゃん!もらえて。」
「うん。あのさ、あたし、手紙早く見たいから、先行っちゃっていい?」
「いいよ。じゃあね。」
「ごめんね〜。」
そういいながら、走って学校に行く姿は、明るかった。
いいなぁ…。私、もっと後なんだよね、誕生日。
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