【SD+】

□君しか見えない。
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“大好き”

何回言っても、足りやしない。
欠けたピースを探すように、
喉の渇きを潤すように、



ただ君だけを……。






【君しか見えない。】









「三井サーン」


「あ?」


「大好き。」


バシッ

……いで!
な、何でぶつんだよ。

三井サンは
オレを週バスでひっぱたいて、それからパッと視線を反らした。


「ったく、宮城!いきなり何だよ。」


「だってぇ」


一応言い訳しようとするも、何も浮かばない。
だって“好き”だなんてさ、四六時中言っても足んないくらいだし。
しょーがねェじゃん?


「ねぇ三井サ、

「……。」


もっかい話しかけようとしたら、今度はキツく睨まれた。
読書(つっても週バスだけど)の邪魔すんな、ってさ。
ンな凄まなくても……
にしても三井サン、顔赤いよ?
かーわいい。


「……。」

「……。」


それから、暫しの沈黙。

ぺらり ぺらり
と、三井サンが雑誌を捲る音だけが聞こえる。そしてそんな三井サンを、ジッと見つめるオレ。


あー、ほんと可愛い。
意志の強そうな眉に、形のいい唇、それからオレがつけた顎の傷……
三井サンには悪いけど
全身が、
あんたの全てが、
オレを誘ってるとしか思えない。


「、ぎ?」


それから、その大きな目も魅力的だよなァ。うん。
って、そんなに見つめられると照れるんすけど。
ん……見つめ?


「…ゃぎ、宮城ってば!」

「!うぁ、はいっ!!?」


苛立ったような声に、慌てて返事をする。
話しかけられてんのに気付かないとか、どんだけ見とれてんだよオレ!


「っとによー。ほんと、オレのこと見過ぎ。気が散んだろ!」


少し困った顔で、ぷいと視線を下げられる。
けど次の瞬間には、オレの大好きな勝ち誇った笑顔で。


「仕方ねー、おまえオレのこと大好きだもんな。」


……っ。
ほんとアンタは
オレの心を掴むのが、怖いくらい上手い。
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