【SD+】

□好きです!
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5月22日



今日は一応オレにとっちゃ大切な日。
まぁ他の奴らからすりゃ、単なる平日だろうけど。


でも




おまえには、おまえにだけは――

今日という日を“オレにとっても大切だ”って、
少しでもそう思ってほしいんだ。



贅沢かな……?








【好きです!】









夕暮れ時、自室にて。


「っあー疲れた……」


今日1日の疲れを癒すべく(つってもまだあと何時間もあるが)、オレはベッドに突っ伏していた。


“三っちゃん、おめでとう!!”

“ミッチー今日誕生日だって?全く、前もって天才に言ってれば何か用意したのにっ。”

“おめでとう。赤木、今日は三井の誕生日らしいぞ!”

“ん?あぁ、それはめでたいな。”

“ッス。”

““おめでとうございます、三井先輩!””


……おー、みんなありがとよ。


どうやら
アヤコが部の奴らに伝えまわったらしく、広まっていたオレの誕生日。


いつの間にか、夕飯がてらパーティーを。
とまで話がデカくなっていたので、オレは部活後そそくさと家路に着いた。


ガキでもねーのに、さすがにそこまで祝ってもらうのはなァ。
なんて、
建て前でもあったりして。


「……宮城。」


携帯を緩く握り締める。

だって、今日のおまえは何か変だった。
朝一番に“おめでと”って言ってくれたけどよ、
それだけ。




……ほんとは
ちょっとだけ、ちょっとだけ期待してた。

誕生日は好きな奴と、
なんて。

オレの思考は恋する乙女か、バカヤロウ。


「あーぁ」


溜め息は、虚しく静寂に溶けてゆく。
なんだか意識してる自分が滑稽で、
気にしてる自分がバカみてぇで。


なみだが
でそうになったとき





ヴヴヴ……






オレの心に鳴り響いた振動音。

それこそバカみてぇだけど
オレは普段出来ねーほど俊敏な動きで、携帯を開いた。
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