【SD+】

□冬のはじまり
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かばんの中には板チョコ1枚。
ポケットの中にはキャンディー5つ。
……しかも、ズボンの両ポケットと学ランのポケット全部に詰めた。

これで完璧!
オレは準備万端だぜ。

よし宮城、どっからでもかかって来いやぁ。









【冬のはじまり】









少しずつ冷えてきた風が吹きすさぶ。
そんななか、それでもオレは屋上にいる。

今日は2限目から昼寝の時間だったからだ。
……オレの時間割では。

うつらうつら
壁際に転がりながら、何とはなしに何かを待ってみる。
そう、“何か”。
決して宮城とかそういう類のモノをではない。

ちくたくちくたく
せっかちな時計にガンたれながら
そう、何かを。

待って……




待って……




待……




zzZーー









「……サン、三井サン!」

ふわふわした意識のなか、ふとオレを呼ぶ声が聞こえた。

「ぁ?」

うぉー、だめだ眠ィ。
“もうちょっとだけ”それだけ伝えて再び眠りにつこうとしたが、それを妨げるかのように頬を軽く叩かれる。

「……。」

それでも睡魔を優先させるオレ。
そう、諦めたらそこで試合終了だ。


ペチペチ

「………。」


ペシペシ

「…………。」


「三井サン」

「……………?」


むにいぃぃっ

「ッ!だあぁやかーしい!!!」

頬を思いきりひっぱられ、たまらず飛び起きたオレ。
目の前には、なぜか心配そうな様子の宮城がいた。

「あー!良かった、生きてたっ!!」

「……はい?」

ついに頭がやられたのかそんな言葉を口にして、そのうえ抱き付いてきやがる。

「もうオレ心配しちゃったよ、ちっとも起きねーんだもん」

ならそのまま寝かしとく優しさをくれ。


「……今何時だ」

「ん、12時過ぎだけど?昼休み入ったとこ」

「あーそう」


ってことはオレ寝ちまってたのか。
やべ、寝るつもりは……いやあったけど。
ここまで爆睡する予定はなかったっつーか?

べつに宮城待ってたわけじゃ、ねぇけど。
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