【REBORN!】
□愛証〜NO SMOKING〜
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(イライラ)
『……………。』
(ソワソワ)
『……………;』
――やっぱり、無理じゃないかなぁ……
【愛証〜NO SMOKING〜】
夕闇に染まる教室には、僕と獄寺君の2人だけ。
恋人同士である僕達にとって…本来なら、とても好ましい状況である。
けれど…今僕達を包んでいるのは、決して甘いとは言えない空気。
……その理由は……
『ねぇ、獄寺君。別に無理しなくていいよ?』
「いえっ!これ以上、十代目のご健康を損なわせるような事出来ませんから!!!」
『……そ、そう;』
今日の6時間目の授業は、保健だった。
テーマは煙草についてで、吸ってる本人よりも周りの人に害のある“副流煙”とかいうのを習ったんだけど…
珍しく授業をサボっていなかった獄寺君は、それを聞いて…相当な衝撃を受けたらしい。
そして授業の直ぐ後、泣きながら謝ってきたんだ(大袈裟だよね;)。
そう、この重たい空気の原因は“禁煙”
…僕は別に、気にしてないんだけどなぁ…
「…だいめ。十代目!」
『――あっ、なに?獄寺君』
少しボーッとしてたら、獄寺君が覘き込んできた。
あまりの近さに、思わず鼓動が早くなる。心配そうに“どうかされましたか?”なんて聞いてくれるけど、獄寺君は何もしてこない。
いつも…この距離で2人きりだったら、必ずキスしてくるのに。
きっと今は、煙草を我慢するので手一杯なのだろう。
…そんな獄寺君に、少しだけイラッとくる。
僕の為にやってくれてるのは分かるけど、何だか変な感じだし。
…とにかく僕は、この状況を打破したかった…
『獄寺君』
腕を掴み、ジッと見つめる。
「へ?…!!」
そして、口付け。
するっと無防備な唇に舌を差し込み、獄寺君のに絡める。
けれど長く口付ける事はせず、あっさりと唇を離した。
「…………十代…目?」
獄寺君は顔を真っ赤にさせながらも、驚きのあまり口をパクパクさせていた。
そんな獄寺君が、可愛くて…
普段なら絶対言えないような事を、そっと囁いた。
『…煙草が吸えなくて…口が寂しかったら、さ。いつでも…ぼ、僕がこうしてあげる、から…』
だから、無理なんてしなくていい。
その方が…僕も嬉しいんだ。
あまりの恥ずかしさに目を瞑って言ったら、獄寺君の唇が触れてきた。
そして、力強く抱きしめられる。
「十代目…!!」
『獄寺君。…大好き、だよ』
「オレもです…」
――オレは、とても幸せな気持ちで十代目の言詩を噛みしめていた。
“大好き”
宝物のような言の葉が、ごく自然に贈られる。
――それが、オレにとってどれだけ幸福な事か――
ふわり
砂糖菓子のような貴方。
十代目なしで生きてけないオレは…まるで、貴方という麻薬に堕ちた中毒者のよう。
煙草なんかより…ずっとずっと、癖になりそうだ。
・END・