【REBORN!】
□※苺
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『なぁ、何だコレ??』
「えっ」
オレはハテナマークを飛ばしている獄寺を見て、思わず驚いてしまった…。
【苺】
放課後。珍しく部活が休みだったオレは、獄寺を家に誘った。
「なぁ、獄寺〜。今日オレん家、来ねぇ?」
『は?行かねぇよ』
即答、そして無愛想な返事。オレの誘いは、あっさり切り捨てられてしまった。しかもその直ぐ後に、“これから10代目の家に行くんだからよ”と、付け加えられる。…相変わらず、ツナのことばっかだな。ムッとしたのを表面に出さぬよう、オレは作り笑いを浮かべた。
「まぁまぁ。ちょっとくらい、いいだろ?」
『行かねぇ!』
「あっ!やっぱ来たいか!? 良かった〜、さっさと行こうぜ♪」
そう言って、獄寺の腕を強引に引っ張る。
『お、おい!てめぇ、なに聞き間違えてんだよっ』
否…ちゃんと、否定の声は聞こえた。というか、この距離で聞き間違えちまうほど耳は悪くない。だが…たまには、許されるよな? たまにはオレだって…獄寺を独占したい。
「たで〜ま〜」
『…チッ』
家に着いてからも、獄寺はかなり機嫌が悪そうだった。…オイオイ、そんなに睨むなって; オレはしかめっ面の獄寺を何とか部屋に通すと、食うモンを取りに台所へ向かった。
テーブルの上には、放り出されているスーパーの袋がある。
「ったく親父のヤツ…また置きっぱかよ」
呆れたように溜め息をつくと、山本は中身を冷蔵庫に入れようとした。そこで、鮮やかな紅色が目に入る。
“おっ、これイィじゃん♪”山本はそれを軽く水洗いすると、ガラスの器に盛った。そして一緒に見付けたミルクを掴んで、上機嫌に部屋へ戻る。
…ちなみに、スーパーの袋は結局放り出されたままである。
「またせたなー」
扉を開けると、獄寺は我が物顔で堂々と寝転んでいた。…そこ、オレのベッドなんだけど…。
『おー。!!』
獄寺はちらりと此方を向くと、そのまま固まった。
「…獄寺;?」
『おい。その紅い物体、なんだ…??』
「は?」
オレは一瞬、耳を疑った。オレが持ってるのは…何の変哲も無い、普通の苺。苺を知らない奴なんて、いるのか…?
『おい!何なんだよっ』
「お前…苺知らねぇのか?」
『いちご…?』
不思議そうな反応を見て、オレは漸く獄寺がイタリアに居たことを思い出した。…まぁ確かに、知らなくても無理ないよな。
「春の果物だよ。甘くって、美味いんだぜ〜?」
『…へぇ…』
獄寺は苺を見て、目を輝かせた。さっきの不機嫌面も、すっかり消えている。 オレは苺から目を離さない獄寺を見て、いいことを思いついた。ベッドに腰掛け、苺を口に含む。