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□『キミを呼ぶ~赤~』
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「さっくらいさーん。」

一歩前を歩く翔が振り返る。

「何?そしてなんだその呼び方…。」

「くすっ。何でもなーい。」

「お前酔ってんの?」

ブツブツ言いながらまた歩き始める。

しばらく歩いて…

「翔さんっ。」

「何?」

翔が振り返る。

「くすっ。今度は下の名前で呼んでみたの。」

「…そりゃどうも。」

呆れたように少し笑って、また歩き始める。

腕を組んだり
手を繋いだり
並んで歩いたり…
そんなことは出来ないけど、

名前を呼べば、すぐに優しい顔で振り返ってくれる。

「翔ちゃん。」

「何?今度は普通に呼んでみたってヤツ?」

一歩前を歩く翔が振り返る。

その顔が…

「大好きよ。」

「へっ?」

ちょっと固まった翔の横を擦り抜ける。

「ちょっ、お前、マジで酔ってんの?何?」

照れ隠しに訳のわからない事を言いながら、私を追い越し、また私の一歩前を翔は歩き始める。

短くなったやわらかな髪
背の高い広い背中
すらっと長い手足

そして
振り返る優しい瞳。

その全部が大好きだから

私は今日も
翔の一歩後ろを歩いてる。

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