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□『「好き」のヒトコト』
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頭が痛いほど 好き。

そんな恋、どうなんだろ…

『今日は生放送~』

貴方からのメールに

「楽しみにしてます。」

愛想のない返信をしてしまい
また、頭が痛くなる。

悩みのタネは何処かに飛んだ…

ホントに、飛んでくれたらいいのに。

始まった生放送を映すテレビ画面には

目尻にシワを寄せ
ふんわり笑う。
すらりとした長い手足に
黒の細身のスーツがよく似合う。

大好きな貴方の姿。

…スーツ、よく似合ってます。

なんて言葉しか思い浮かばす
また、頭が痛くなる。

胸がキュンとするとか
初恋のような初々しい気持ちなら可愛いのに…

そんな事を思いながら、こめかみをギュッと押す。

『見てくれた?どうだった?』

……気の利いた可愛い文章が浮かばす困っていると、
待ちくたびれたように携帯が震えた。

「は、はい。」

『こんばんは。相葉です。起きてた?』

「あ、はいっ。すみません、メール返せなくて。」

『ううん。俺こそ返事催促しちゃってごめんね?』

「あの…スーツ…すごく似合ってました。」

『ふふっ。ホント?ありがと。』

「…ごめんなさい。なんかつまんない言葉しか出てこなくて…」

『もしかしてさ、俺に興味ない、とか?』

「ち、違います!私、今日もずっと相葉さんしか見てませんでしたからっ。」

……今、私、何言っちゃったんだろ…頭が痛い…

『くふふふっ。ありがと。嬉しいな。でもさ、歌の時はみんな見てね?リーダーも翔ちゃんもニノも松潤も格好いいよ?』

特徴のある笑い方で、楽しそうな声。

「そう…ですよね。なんか、ホントすみません。」

『いえいえ。じゃあ、また電話するね。おやすみ。』

「おやすみなさい…」

あぁ、もう…。
頭がクラクラする。

悩みのタネ
早く飛ばしちゃおうかな。
『好きです』って、たったヒトコトなんだけどな。


.

「何、彼女に電話?」
「あ、松潤おつかれ。ふふふ。まだ彼女じゃないけどね。」
「あれ?まだ言ってないの?」
「言ってくれるの待ってんの。」
「はぁ?」
「真っ赤な顔してさ、しどろもどろで好きです!って言われたいの。」
「……相葉さん、そんな人だったっけ?彼女に同情しちゃうよ。」
「え?いいじゃんねー。ただでさえ可愛いからさ、絶対に告白顔も可愛いと思うんだぁ。早く言ってくんないかなぁ。」
「……小悪魔だ。」


.

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