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□『シュガー』
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「うっわ。何のニオイ?」

「あ、潤、いらっしゃい。」

「ってか、何それ?」

「シナモンロール。明日の朝ゴハンにしようと思って。」

「………夜更けに甘ったるい匂いが充満してんだけど。」

「いい香りでしょ?」

嬉しそうにニコッと口角をあげる…
俺が一目惚れしたその笑顔。

思わず小さなため息が溢れる。

「甘いよな…いろいろ。」

「え?なんか言った?」

「別に。」

甘い匂いが受け付けないとか
夜更けだけはやめてくれとか
実は甘い物は苦手だとか

……色々言いたいコトはあるけれど

「ね、この前作ったチョコケーキ、職場ですっごい評判よかったの。部長がね、また作ってきてよって。」

「部長って、あのちょっと怖いって言ってた?」

「そう、あの部長!実はケーキとか大好きなんだって。みんなで和んじゃった。」

「ふふっ。そっか、よかったじゃん。」

「うん。」

楽しそうに日々の出来事を話してくれて、最後にニコッとされると

言いたいコトはなんにも言えなくて

ま、いっか…

何でも許してしまうんだ。

「ちょっとさ、こっち来てよ。」

「なぁに?」

甘い笑顔を掴まえて
とろけるようなキスをする。

「お前はさ、色々甘いよな。…俺も色々甘いけど。」

真っ赤になってる君に
もう一度キスをしよう。

甘い甘い夜はこれから………




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