本棚V
□『糸』
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席が隣じゃなくなって
クラスが一緒じゃなくなって
学校が別々になっちゃって
キミはジュニアになっちゃって
キミは嵐になっちゃって
それでも
まだ毎年誕生日には
『プレゼント用意してくれた?』
なんて電話かけてくれてたのに…。
デスクに置かれた
卓上カレンダーは8月。
伝票に押された判子の日付も8月。
「お疲れさまでーす。」
仕事の合間に入れてもらうコーヒーも
カラカラと涼しげな音を立てる。
ホントのホントに
もうキミと離れてしまったのかな。
細く細く繋がってた糸は
プツリと切れてしまったのかな。
帰りに寄った本屋には
キミがたくさん溢れてて
ちらりと覗いたCDショップにも
キミの声が響いてて
『恥ずかしいから感想とかいいから』
なんて、
少し赤い顔をしたキミを思い出す。
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