本棚V

□『あなたといると』
1ページ/1ページ


…………………………………
……………………………………

「あっ…死んだ…」

「え?」

ポツリと呟かれた言葉に驚き
読んでいた雑誌から視線をあげる。

「あ、いや、セリフ覚えながらやってたらさ、ミスっちゃった。」

「セリフ覚えながらゲームしてたの?何ブツブツ言ってるのかと思った。」

「ほら、落語家さんだからね。セリフ長いのよ。」

「ふーん。」

「興味ないでしょ、あなたさ。」

「失礼しちゃうな。オリエント急行は見たわよ、先週。」

「あれさ、お正月にやってたんだけど…。」

「そうだっけ?」

「ま、いいや。こまめにチェックされるのも嫌だしね。」

呆れたように笑って、私の横に座る。

「ゲーム止めたの?」

「んー。……ちょっと休憩。」

ふわっと目を閉じて、私の肩にもたれ掛かるカズ。

「?」

「あのさぁ。1回しか聞かないからさ、真面目に答えてくれる?」

「いいけど……何?」

「俺、嵐なんだよね。」

「え?あ、うん。嵐だね。」

「この先も、しばらくこんな生活なわけ。あなたさ………それでもいいの?俺といて、楽しい?」

目を閉じたまま
肩に寄りかかったまま
そう聞かれる。

「………ふふっ。楽しくなかったら、
一緒にいないよ。」

カズはピクリとも動かない…

「………ね、カズ?聞いてた?」

「聞いてた。………ありがとね。」

「うん。」

「ちょっと寝るから。」

「え?このまま?」

「おやすみー。」

そう言ってカズは私の膝に頭の位置を代え、また目を閉じた。

ねぇ、カズ
こんな穏やかな時間があるだけで
私のココロは満たされるんだよ。

あなたといると、楽しいよ。
あなたといると、幸せよ。

あなたといると、
あなたと居たい。

.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ