本棚V
□『不機嫌の理由(わけ)』
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「………………不愉快なんだけど。」
「まぁまぁ、相手は子供だろ?」
「…………………でも不愉快。」
「ほら、企画のひとつなんだしさ。」
「子供だろうと企画だろうと不愉快なのっ。翔ちゃんが嫌いとか、翔ちゃんに拒否反応とか、あーもぅっ、絶対ヤダ!」
「落ち着きなよ〜。最後は仲良くなったんだし。」
「あっ!もしかして、拒否反応とかして気を引くって感じなの!?」
「いやいや、相手は6才だから。」
「6才をあなどっちゃダメよ?」
「って、お前の過去に何があったよ」
笑いながら翔ちゃんが
私の頭にポンッと手を乗せる。
「翔ちゃん?」
「何がさ、そんなに嫌だった?」
「翔ちゃんを拒否とかありえないから。」
「ホントはさ、そんなことじゃないんだろ?」
「うっ…。…………だってさ……翔ちゃん……あの子に…すごい優しい顔するんだもん……。」
私の言葉に、ふふっと笑う翔ちゃん。
そして……
「ヤキモチってやつね?」
そう言って
そっと優しく唇を重ねる。
ねぇ、翔ちゃん。
優しい顔は……我慢するけど
優しいキスは
私だけにしておいてね。
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