本棚T
□『告白』
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「どうしてですか?」
私の言葉に、貴方は驚いた顔をする。
「どうして?」
「はい。どうして、私なんかと付き合いたいなんて思うのかなって。」
貴方は今度は少し困った顔をする。
「君を好きになったから、付き合いたいって思ったんだけど。」
「…こんな小さい専門書みたいな本しか置いてない本屋にいる私を好きに…ですか?」
「そう。」
目の前にいるのは…松本潤さん。
今、この人は
『僕と付き合って貰えませんか?』
と、私に言ったばかり。
おじいちゃんが趣味でやってるような古い小さな本屋。ここの雰囲気が気に入ったと、雑誌の撮影で松本さんが来たのが最初だった。
それから、何度となくやって来ては、古い能楽や雅楽の本を眺めたり、買ってくれたり、話をしたり。
「…私と付き合っても、得することないと思いますけど…」
「でも、君は古書とか詳しいでしょ?」
「…私、楽しい会話とかできませんよ?」
「そんなことないと思うけど。」
「…美人じゃないし。」
「可愛いと思うよ。」
「…AB型だし。」
「大丈夫、AB型の扱いは馴れてるから。」
「…私、松本さんの事、何も知りませんし。」
「これから知っていけばいいから。」
「……ふふっ。何言っても言い返されちゃいそうですね。」
「やっと笑ってくれた。…その笑った顔に、一目惚れしたんだ。だから、付き合ってくれませんか?」
貴方は真剣な顔で私を見つめる。
「……あの…私、正直言って…松本さんのこと、好きかどうかわかりません。…でも、今、すごく嬉しい…。」
「うん。」
「だから……」
「うん、俺にさ、ゆっくり恋してよ。」
「……はい。」
優しい貴方に
いつかきっと言えるかな。
『好きです』って…。
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