本棚V

□『片想いの連鎖〜m.a〜』
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「電話、かけてくると思ってた。」

「え?」

「いいよ、わかってるから。」

運転席をチラリと見ると、
少し困ったまーくんの顔。

「俺、もしかして空気読めてない?」

「ううん。………ありがたいって思ってるよ。すごく。」

「…そっか。なら…良かった。」

「……私ね、カズに彼女が出来たってわかった時ね、ちょっとよかったなぁって思ったの。」

「何で?」

「だってね、あんなオタクで引きこもりのカズをわかってくれる人いたんだなって。」

「何それ、ニノの悪口?」

前を見たまま、ふふっと笑うまーくん。

「なっちゃんさ、ニノが幸せになるならさ、相手は自分じゃなくてもいいの?」

海の香りがする公園の駐車場に車を停め、ポツンとまーくんが呟く。

「……幼馴染みなんて、そんなものかもね。相手は、私じゃなくていいよ。ふふっ、それに、カズが好きになった人だもん。」

強がりなんかじゃない
それがホントの気持ちだった。

『え?何で返すの?』

なんて合鍵を返した私に、キョトン顔で言ってのけたカズに唖然としたけど、私はきっと、もう“家族”だったのかなって。

「じゃあさ、なっちゃんが幸せになる相手は、ニノじゃなくてもいいってこと?」

「え?あ、うん。そうなるね。」

「そっか。じゃあさ、俺がいいよ。」

「……え?」

「だってさ、俺、なっちゃんのコトずっと好きだったし、ぶっちゃけるとさ、誰にも呼ばれたことないから……って、あっ!親戚のおばちゃんとかには呼ばれてたけどね。友達とかで呼んでる人いなかったから、なっちゃんには『まーくん』って呼んでって言ったんだ。」

ちょっと照れくさそうに、
後半はちょっとパニクって、そう言うまーくんに、くすっと笑ってしまう。

「たぶん、パキッと諦められたのは、まーくんがいてくれたのもあるかもしれないな。」

「え?何それ?」

「ふふっ。私がツラいときはさ、いっつもまーくん電話してくれたでしょ?一緒に笑って、一緒にご飯食べに行って、一緒にいてくれたから。」

「…そっか。……うん。そっかそっか。じゃあさ、俺でいいでしょ?」

いつものくしゃっとした笑い顔。

「まーくんでいいんじゃなくって、まーくんがいいよ。」

私も笑って答える。

あなたの笑顔で
全部がうまくいく気がして
あなたの笑顔で
ココロがふわりと軽くなる。

あなたが、いいよ…。


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