本棚V

□『今年も…』
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『s.o』


「ねぇ、聞いてる?」

「……」

「智くーん」

「……」

「こら!大野智!聞いてんの?」

「へ?」

間の抜けた返事をして、キョトン顔で振り向く智に思わず笑ってしまう。

「青、付いてる。」

「え?」

「ふふっ。絵の具、付いてるよ?」

マンガみたいに頬についた青い絵の具。

「今拭いてもまた付くから、後でまとめてシャワーで流すよ。」

「うん。」

「あ、で、さっきおいら呼んだ?」

「呼んだ。ラーメン、作ろうか?」

「え?もうそんな時間?」

「そんな時間。」

「あー…じゃあ、作って。」

「了解。」

智と同じような
ゆっくりした穏やかな時間が流れる。

「あ!ねぇ!」

「ん?」

絵筆を持ったまま、
キッチンにやって来た智がフフッと笑う。

「?」

「言うの忘れてた。」

「何を?」

「今年もよろしくね。」

優しい笑顔と一緒に、
ふわり唇が重なった。

「…うん。よろしくね。」

今年もあなたが大好き。

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