本棚V
□『今年も…』
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『m.a』
「ねぇ、聞いてる?」
「…」
「ちょっと、聞いてないフリすんなよなぁ。」
「……」
「もー、だからさ、何でさっきから怒ってんだよー。新年だよ?お正月だよ?」
私の機嫌をとるように、雅紀はさっきから「ねぇ、ねぇ?」と絡んでくる。
それなんだよ…
その可愛い仕草が
私のキモチを曇らせる…
「怒ってないのよ。」
「じゃあ、何?」
私の顔を覗き込む丸い瞳。
「雅紀ったらさ、どんどん可愛くなって、美人になっていくんだもん。本物の女子の私はどうしたらいいのよ。」
「…………は?…え?何?へ?誰が可愛くて美人だって?」
「相葉雅紀。」
「……俺、それ、褒められてるの?」
頭に?を浮かべる雅紀は、
また可愛くて……
「雅紀が可愛すぎてね、凹む。」
パタリとコタツのテーブルに頬をつける。
「……んふふふっ。俺が可愛いかは別としてさ、俺が一番可愛いって思うのはさ、こうやって悩んでくれてる誰かさんだよ?」
大きな手が、私の頭を撫でる。
「……ホント?」
「ふふっ。ホント。だからさ、ほら、ちゃんとこっち見て?」
ニコニコ笑う雅紀を見つめると
何だか私も笑ってしまう。
「くすっ。」
「あ、ほら、可愛い!」
チュッと小さな音をたてて唇が触れる。
「………ありがと…。」
今年もあなたが大好き。
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