キャラ夢

□誕生日 〜刹那〜
1ページ/3ページ

「誕生日、おめでとう!!」

数々の色紙で飾られた教室、その教室内で鳴り響くクラッカー。
四方八方に咲き乱れる色取り取りの紙吹雪。
そして目の前には蝋燭が立てられている、純白のバースデーケーキ。
これらの全てが全て、私のために彼女達が用意してくれたものだ。

「ハイコレ、私からのプレゼント!」
「私からもあるよー!キレイでしょー!」
「遠慮せず受け取るアル!」

クラスメート達から送られる、数々のプレゼント。
ボールペンや腕時計などの実用性溢れるものから、
カラーバリエーション溢れる竹刀袋、
使いこなすのには時間が必要と思われるヌンチャクまで。
このクラスらしいといえばそれまでだが、
このクラスでしかありえないと言い換えることが可能だということだ。
そのプレゼントを私宛に送られているこの事実が、私はこのクラスの一員だと改めて思えてとてもうれしい。

「まったく、何で私がこんなことに参加せねばならんのだ」
「マスター、このパーティに参加への強要はありませんでしたよ」
「うるさい!腕引っ張って連れてこられたのだぞ!どこが強要じゃないんだ!」
「しかし、マスターが本気で振り払えば神楽坂さんも諦めたでしょう」
「だからそれは………!」

何だかんだ言って来てくれたエヴァンジェリンさんと茶々丸さん。
エヴァンジェリンさんの小さな手には、やはり小さなプレゼントが握られている。
恐らく、最初から参加してくれる気だったのだろう。大変感謝している。
おっと、このまま微笑んでいるとエヴァンジェリンさんから怒られそうだな。
しかし戻らない。しょうがない、怒られるときは怒られよう。

「これだから一般ピープルたちは困りますわ!」
「うわ、またやったのかこのバカ!」
「バカ再来だ!」
「お黙りなさい庶民!このプレゼントを覆すものを差し上げてからそういう生意気なことを言葉になさい!」

………個人的には私の身長の軽く二倍があるであろうこの私の銅像を
越すものは現れて欲しくない。
これだけ友人と思われていることは大変嬉しいのだが、
正直に言って置き場に困る。というか本当にどうしようかコレ。

「さて、いいんちょのバカなプレゼントも快く受け取った優しい主役に、感想を聞きましょう!」
「ちょっと、それどういう意味ですの!?」
「ささ、どうですかメインヒロインさん!」

朝倉さんが笑いながらマイクを私に向ける。
後ろで怒っているいいんちょさんはほっといていいのだろうか。
しかし、いきなり振られても困る。やはりここは何か言うべきなのだろうか。
だが何も言葉が浮かばず黙ってしまう。
マズい、なにか喋らなければ。しかしそう思えば思うほど言葉は出てこない。
さて、どうしたものか。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ