.

□えまさまより頂いた小説です
3ページ/3ページ

「フン、戯言を…」
趙雲を抱きながらも、姜維と諸葛亮を睨んだ曹丕は不意に体勢を崩した。
立ち上がった馬超が後ろから曹丕に体当たりしたのだ。
必死に腕を伸ばして曹丕から趙雲を奪い取る。
そのまま床に倒れ込んだが、馬超は何とか趙雲を庇った。
「…痛ってて」
床上でまだ眠っている趙雲の無事を確認してから馬超は再度立ち上がる。戦うには武器が必要だ…
ふとそう考えた瞬間、諸葛亮の声が響いた。
「信賞必罰!!!!」
−−−−−−真・無双乱舞発動!!−−−−−−
諸葛亮の羽扇から幾筋もの光線が放たれた!!
追尾型に改良されたその光線は、滑らかな曲線を描いて敵に迫る。
「わ゛ーっ!!?」
「ぐぁー!!」
「ぎゃぁー!?」
曹操、曹丕、夏侯惇、陸遜、甘寧、凌統が悲鳴を上げて次々と部屋の壁を突き破って、天高く吹き飛んでいった。
おそらく落下地点は各々の自国だろう。
…そして、馬超にも光線が襲い掛かかる。
「秤ス故俺までーー!??」
もちろん落下地点は馬超の自邸で、不幸にも精一杯頑張って仕上げた書簡の数々のど真ん中…




***




「…えっと、一体何があったんでしたっけ??」
暫くして、目を覚ました趙雲は見事に滅茶苦茶に壊れきった自室に唖然と口を開いた。

どうやら多少の記憶まで吹き飛んでいる様で…
「今夜は絶好の月夜ですし、殿の邸にでも三人でお邪魔しましょうか」
「ちょうど良いお茶がありますよ〜丞相!!」
諸葛亮と姜維は何事も無かったかの様に涼しげに笑う。
『確かに部屋も壊れてしまったし…原因は不明だケド;』
趙雲も取り合えず落ち着きたいと思い、諸葛亮の提案に乗る。

ゆっくりと立ち上がって崩れ去った天井を仰げば、その夜空は雲も無く、風も無く、ただ三日月だけがほっそりと静かに照っていた。





〈終り〉
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ