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□えまさまより頂いた小説です
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ss:趙雲争奪戦




「今日こそ…子龍に思いを告げるんだ!!」
馬超は意気込みながら趙雲の邸を目指す。今日の夜、趙雲の邸で一緒に酒を酌み交わす約束をしていたのだ。
もし、告白が成功すれば…朝まで趙雲の邸に邪魔する事になるだろう。
ちゃんと、そうなっても良い様に翌日する予定の仕事は大方済ませてきた。準備は万端!!
そんな先走りな妄想に馬超の頬はゆるみ、男前の顔は台無しになっていた。







「それでも、ちょっと遅くなってしまったな…子龍寝ちゃってるトカ無いよな;」
馬超は妙な胸騒ぎを感じながらも、趙雲邸の門前に到着した。
門を開け邸内に入るが、見張りや使用人の姿は一切見えない。…静かすぎる。






馬超は気配を消しながらも、趙雲の部屋に走った。途中、数人の使用人が床に倒れているのを発見したが、薬を盛られたのか皆眠っていて目を覚まさなかった。
灯りが漏れている趙雲の自室の扉に辿り着いた馬超は、一気に扉を開いた。
「子龍!!大丈夫か??」



その先には腕を後ろで縛られてもがく趙雲の姿と、抵抗する趙雲を取り押さえようとしている魏王・曹操と、嫡男・曹丕の姿。
「何故貴様等が蜀に…」
「孟起危ない!?」
趙雲が声を上げたのと同時に、扉の影に潜んでいた夏侯惇に一撃を喰らわされた馬超は、呆気無く気を失って床に崩れた。

「孟起…ぅっ!?」
倒れた馬超に気を取られていた趙雲の鼻孔に、曹丕が眠り薬を染み込ませた布をあてがった。
程なくして趙雲も眼を閉じた。
「良くやった子桓」
そう言って、曹操は曹丕から趙雲を抱き取ろうとしたが、曹丕はしっかりと趙雲を抱えて放さなかった。
「父よ…身長差をお考えになられよ。私が趙雲を抱えて行きます…」
「誰が豆粒ドちびかぁ〜〜(鋼錬ネタ)」
「…そこまで言ってません」
「おい!目的は果たしたのだから、さっさと帰るぞ」
いつもの様に喧嘩を始めた二人をいつもの様に夏侯惇が一喝する。


「…そうは行きませんよ」
突然、天井から声が響く。
「何奴!?」
曹操達が身構えると、天井の一角を突き破って赤い燕が華麗に舞い降りる…それは呉の陸遜だった。
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