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□駆け引き
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「じゃあ亮、今日も帰り遅くなるから先に寝てていいからね」
優一は玄関で申し訳なさそうに亮に微笑みかけた。
「…あぁ。あんまり無理すんなよ?」
そんな顔をされてしまったら早く帰って来いなんて文句の一つも言えなくなる。
「うん。…行ってきます」
優一の背中を見送り、ドアが閉まるのを確認すると亮はその場に踞った。
「はぁ…」
いつしか、優一は亮に全く触れなくなった。
同棲したての頃は一緒に風呂に入るとしつこかったり、毎晩のように身体を繋げて来た。朝だって、行ってらっしゃいのキスをしなければ出勤しない程だった。
なのに、ぱたりとそれらがなくなってしまった。元々優一に甘えられる事は嫌じゃない。亮も口ではよく優一に罵声を浴びせたり抵抗もするが、けして嫌だからではなく、何となく恥ずかしいからだ。
優一のように口には素直に出せないけれど、本当はたくさん触れていたいし、キスだってしたい。身体だって繋げたい。
最近仕事が忙しいからと割りきっているつもりだが、ここまで触れ合いがなくなると不安にもなる。
飽きられたか、あるいは別に好きな人が出来たか。
優一が自分を好いてくれているなどと自惚れていただけなのかと考えれば考える程虚しくなり、また一つ盛大な溜め息をついた。
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