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□今までも、これからも
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深い口付けをされながらトサリ、と後ろに倒されれば綺麗に張っていた白いシーツにシワが刻まれる。
キスに夢中になっていればいつの間にか身に纏っていた服は脱がされていた。
手慣れている、といつも思う。
身体を這うこの手と唇は、過去に自分以外の誰かを抱いてきたのだろうか。
愛撫を受けながら嫌な考えが浮かんでは消える。
目頭が熱くなり、鼻の奥がツンとした。涙が零れそうになるのを隠すため、せがむように亮は優一の首に巻き付く。
「は…早く」
「そんなに焦らなくても大丈夫だよ」
優一は巻き付いた亮の腕をやんわりと離すと、耳に舌を差し入れながら後孔に指を埋めていく。
「ふぅ…んっ」
優一の一つ一つの動作が優しくてまたズキリと胸が痛む。こんな事、自分以外の奴なんかにして欲しくない。そんな小さな独占欲が亮の頭を支配し、涙が溢れて頬を伝った。
「…亮？ごめんっ痛かった？」
亮が泣いている事に気付いた優一は流れる涙を親指の腹で拭う。亮はふるふると首を振るが涙は溢れ続け、優一の指を濡らすばかり。
「どうしたの？」
「…なんでも、ねぇよ」
心配そうに眉を寄せ顔を近付けてくる優一を直視する事が出来ず、顔を逸らす。
「なんでもなくないじゃん。言ってみて？…それとも、僕が信用出来ない？」
「ち、違う…！」
「じゃあ、教えて？」
優しい眼差しを向けられると、きゅんと胸が締め付けられた。
「分かった…う、うざいとか、思うなよ？」
「そんなこと思わないよ」
ふわりとした笑顔で返され、亮は覚悟を決めて口を開いた。
「〜った、ただの嫉妬だよ！」
「…え？」
理解出来ていない優一の表情に凄まじい恥ずかしさに襲われ、亮は優一から視線を外し口元を腕で押さえた。
「お、お前いつもやる時手慣れてて…余裕そうだし、お前は俺以外にも誰かとしてきたのかと思って不安になったんだよ…！」
「亮…」
「くそ…っんな事言わせんな」
「ねぇ、聞いて」
「……っ？」
優一は亮が顔を隠している手を掴み、自分の胸へ押し付けた。
「ドキドキいってるの分かる？」
亮の掌からドクンドクンと早い鼓動が伝わってくる。とても力強く、優しい音。
「亮が思ってるほど、余裕なんてないんだよ。いつか亮を壊してしまいそうで怖いんだ」
胸に手を押し付けられたまま、優一は亮の手を上から握った。切なげに寄せられた眉が優一の言葉の重みを表しているようで、亮の心臓がきゅうと縮まる。
「俺は、お前のものだ」
「え…っ」
「お前になら壊されてもいい」
例えそれが行き過ぎた愛情だとしても。
「受け入れてやる」
亮の真っ直ぐな瞳と言葉に、優一は息をするのも忘れていた。
「…それと、言っとくけどお前も俺のもんだからな！昔がどうであれお前の全部、俺のものだ」
「ぷ…あっはは」
「な、何笑ってんだよ！」
「嬉しいよ、そんな真っ赤な顔して大胆な発言してくれて。でも、これだけは言っておくよ。僕は亮以外を抱いた事なんてない」
きっぱりと、優一は亮の揺らぐ瞳を捕らえて言った。
「だから安心して」
ちゅ、と額に唇を落とし見つめ合えばお互いに抱えていた不安がふわりと消えていく。
「大好きだよ」
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