屍的、人生の送り方
□番外 弐
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「なぁ、…私のこと好きか?」
聞いてくる彼は、可愛い年下の忍者のたまご。
ココに来てから、私は毎日のように彼に質問される。そして、いつも決まった言葉を返す。
「えぇ、愛していますよ。ほら、授業が始まってしまいます…」
そう言うと彼は決まって、頬を膨らませて文句を垂れ、渋々教室に戻って行くのが日常。
可愛い姿を見てしまうと、どうにも困る。私が悪いことをしてしまったかのように、罪悪感が…。
「やっぱり、他に好きな奴がいるんじゃないのか?」
「そんなことはありませんよ、皆好きですから」
「そういうのではなく、もっと、こう、…だぁー!!」
もういい、と声を張り上げ、やっぱり教室に戻って行く。
そんな後ろ姿に、愛してるのは七松さんだけですよ、と言ってみると、嬉しそうに手を振ってくれた。そういうことをするから、愛してしまうんだよ。
でも、私は萌えと平和を愛する人間だから、『貴方だけ』なんて、嘘。彼には教えてあげないけどね。
「ズルイ人、…悪女気どりですか?」
いつ間に隣にいたんだ、鉢屋さん。
さり気なく酷い言われようだったので、文句に一つでも返そうかと考えたが、やめにした。自分が彼に何か言って勝てるような、口達者な人間ではないと分かっているから。
「違いますよ、私は博愛主義者なんです。愛でるモノは多い方がいいじゃないですか」
「じゃあ、私のことも愛でているんですか?」
「はい」
簡潔に答えると、微笑んでデコピンをくれた鉢屋さん。痛いですね、すっごく。
「特別な愛をくださいよ、そうしたら私も、貴女を愛でてあげますから」
それだけ言って帰ってしまった。何で、私に愛でられたいのか分らないけど、『特別』はまだ誰にも譲れないね。すべての萌えを愛しているからね。
洗濯物を畳みながら考えることがたくさんで、私はこの日常を気に入っているような気がする。萌えに囲まれて、のんびり一日を過ごす。ニートな私を慕ってくれる人が傍にいるというのは、良いことだ。
「さぁ、午後は誰が来てくれますかね…」
部屋への訪問を期待しつつ、また、家事手伝いを再開する。
死んで、室町時代にやってきて、ニートになった私は幸せものですよ。
「そんな日々は如何でしょうか?」
貴女だったら、どうしますか?
私は楽しむよ、この日常が来てしまったのは、運命だと信じるからね。
短い!意味わからん!