短編

□葉隠
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「武士道といふは、死ぬ事と見付けたり!!」


そんな声が聞こえてから、人が降ってきた。
2階の窓が開いていて、彼女が飛んだ窓だと直ぐに分かった。


「…なにしてんだよ」


受け止めたはずの彼女は、もういなくて。
呟いた声は彼女に届いたのか、遠くで彼女は、俺を見て笑うだけだった。


「なぁ、土方君。私は死ぬことを恐れはしないよ。キミのためならば、ね」


カッコ良く告白のような言葉を言った彼女は、俺だけを見つめていて、綺麗だった。

なんで、女に先越されないといけないんだか…。俺って、カッコ悪くないか?



「なぁ…、俺の隣にいてくれないか?死ななくていいから…」



死なないでくれ、アイツのように…。

隣りで笑っていてくれるだけで良いんだ。



アンタが命をかける程、俺の命は高くない。



「死ぬのは当たり前のことだよ。生物は皆、死ぬんだから。それがキミのためか、そうでないかの違いなだけだよ」


だから、気にすることはない。

彼女が楽しそうに笑うのは、嬉しいから。
彼女が嬉しそうに笑うのは、俺がいるから。

少し前に話した内容、彼女は俺といると幸せになるそうだ。


「キミのために死なないよ。恐れはしないけど、ね。生きて彼女の分までキミを幸せにするよ」


また、笑う。

輝き始めた日々の中で、俺は彼女に幸福を与えられた。



「できるなら…、


俺のために生きてください。


アンタは俺の光だから」








(窓から飛び降りたのはキミを悲しみから救うため)




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