短編
□恋に気付いたのは、
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「近藤さん、今日も頑張っていますね」
巡回中にかけられた言葉は、最近気になるアノ子のモノで。
「いやー、そんなことないですよ!」
照れ笑いしながら答える俺は、どこか変で。
「近藤さんは、皆さんのために頑張ってますよ。私は凄いと思いますから」
俺はお妙さんが好きなはずなのに、彼女が笑うと胸が苦しくなる。どうしたんだ、俺は…。
「そうですか、ありがとうございます。これからも頑張るんで、よろしくお願いしますね、差し入れ」
渡された差し入れは屯所の皆に、と彼女が作ったお菓子。もちろん、屯所には持って帰らないで食べてしまうけど。
「はい!じゃあ、私はこれで…」
「あ、あの!良かったら今度、お茶でもしませんか!」
寂しそうに笑って去っていく彼女に俺は何を思ったか、声をかけてしまった。
俺の言葉に驚いたのか、勢い良く振り返った彼女は少し、顔を赤くしていた。
あぁ、それが俺の誘いのせいだったら。と思った俺は、もう彼女を好きなんでしょうか?
「…はいっ、喜んで」
それでも、俺は良いと思った。
俺をこんな気持ちにさせたのは…
彼女の気持ちだったのかもな。