短編
□気になる あの子。
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最近、気になる人がいます。
いつも自分じゃない姿で生活していて、たまに私にも挨拶をしてくれる謎な後輩です。
気になるけど、好きじゃない。
「冴木先輩ー、どうしたんですか？」
「いや、ね、とてつもなく愛しく思うのに、好きになれないのは何故だろうって考えていたの」
「意味がわかりませんよ」
親切にも心配をしてくれた久々知くんは私の言いたいことが分からなかったようだ。
「生理的に好きになれない彼が、気になるんだ」
「……目障りなんですか？」
「そういう取り方もあるね」
だけど、彼は目障りな存在ではない。寧ろ、いたら面白い。
いつからか、私の中に芽生えた不思議な感情。
きっと、誰にも理解されないね。
「たぶん、答えは出てるんだ。ありがとう」
可愛い後輩に別れを告げて、不思議な彼を見つけ出す。
いつものように偶然ではなく、私から彼に会いに行く。初めての感覚に、初めての体験。
…やっぱり、彼は面白い。私をこんなにもオカシクさせるんだから。
「鉢屋くん、キミに言っておきたいことがある」
驚いたように振り返る彼は新鮮で、また面白いと思ってしまう。
「私は、キミのすべてを捕らえてみせるよ」
好きでもないのに、キミのことしか考えることができない。
なにもかもが狂いはじめた私を止められるのは、キミの存在だけ。
どうしてくれるんだ。
「責任を取ってもらうからね」
すべてが計算されている彼。
「ねぇ、冴木先輩って、三郎のこと好きだよね？」
「だよな。三郎の奴が仕掛けたんだろ」
『冴木先輩が好きだから、これから意識してもらうことにする』
「とか、言ってたもんなー」
終われ。
短いねー。
三郎は驚いたフリをした ▼
大好きだ、三郎。