〜遥か彼方〜

□NO,16
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何が起こったのかわからない 悟空が、三蔵が…どうして朱瑛が…
信じたくなかった…三蔵が…血まみれで、倒れているところなんて、考えたこともなかった











そんな思考を打ち消す声が聞こえてきた



「ざまァみやがれ…!!
妖怪ごときに加担しやがる奴は人間だろうと死んじまうがいい!!」

「お前がそれを言うのか? −ーーーーお前がそれを言うのかよッ 朱瑛!! じゃあ、あたしは…あたしはどうしたらいいのさ!!」


唖稀は朱瑛を睨み付けた 朱瑛はただ見つめることしか出来ない







「…朱瑛…あたしの今の名は犹爛だ 唖稀の名はまだ捨ててないけど… 創廻天帝使、その名を受けた」





櫂…その名を聞くと朱瑛の肩が揺れた










「知ってるみたいだねェ あたしの名を……じゃあ始めようか 『化け物』と呼ばれたあたしと…」


「悟空!?」


後ろから八戒の声が聞こえた

唖稀も悟空の方を見る
そこはーー金鈷が壊れ、人間でも、ましてや妖怪でもないーー…斉天大聖 孫悟空が立っていた








「ははッ ーーそれが貴様の真の姿か!! やはり化け物は貴様らの様だな!!!」

「…朱瑛…!」

唖稀は無理やり意識を保っていた

三蔵、倒れたあたりから自分ではないものが内から込み上げてくる それを制御しつつ、対峙している悟空と朱瑛の方を見ていた


悟空に手も足も出ない朱瑛に、悟浄と八戒は背筋が凍った

「八戒…」

「…はい!?」

唖稀の呼びかけで意識をこちらに戻した八戒に







「三蔵の傷、塞いでおいて」

「貴女はどうするつもりなんです!?」

「どうするって、ひとつしかないでしょ? あたしが壊れたら…‥殺して…ね?」

「唖稀、何わけのわかんねェこ…ッ!?」




悟浄と八戒は息を呑んだ 唖稀の腕には隠しきれないほどの痣があった

「じゃあよろしくね、2人とも」

唖稀はそう言うやいなや悟空と朱瑛に向かって突っ込んだ









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