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□オワリノコトバ
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真っ紅な華を咲かせて倒れるお前を、俺は黙って見ていた。
…人を殺したのが初めてだったなんて、きっとお前は知らないんだろうな。
俺の初めては、いつだってお前だったんだ。
ダブルスも、恋人も…他人を信じたのも。

もう目を開けることのない長太郎の傍に、座る。
最期まで穏やかで優しかったお前の頭を、撫でてやる。
お前さ、こうやって褒められるのが一番好きだったよな。

「…ごめんな、長太郎」

ほんの数分前。
まだ光り続けていたお前にかけた言葉を、もう一度呟く。
…約束は、守れそうにない。
いや、守るつもりなんて最初からなかった。
だから俺、頷いてないんだぜ?
そんなことも確認しないなんて。

「お前は本当に…大バカ者だ」

お前のいない世界なんて、なんの意味も持たないんだよ。
色がない世界で生きていけるほど。
お前が思っているほど、俺は強くない。
だから、お願いだ。
お前の。
他の誰でもない…長太郎の。

―――…傍に、居させて。

傍らに横たわる恋人の左手を握り、目を閉じる。
右手は銃の向きを変え…自分の左胸に押し当てた。
最後に浮かんだのは、長太郎の笑顔だった。

―――…ふたつ目の銃声と共に、またひとつ、光が消えた。

真っ紅に咲き乱れたふたつの華は、光と引き換えに。
…全てと引き換えに、ひとつに重なった。


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