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□約束。
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―――――まずい。

昼休みももう後半にさし掛かろうとしている。
…急に跡部さんからの引き継ぎ作業が入るなんてついていない。
携帯を修理に出しているのを伝え忘れたせいで、向日さんには何の連絡も取れていない最悪の状況。
俺は焦る気持ちを押さえながら、屋上への階段を駆け上った。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆


何で来ないんだよ…!

俺は日当たりの良いフェンスの傍に座って、日吉が来るのを待っていた。

朝約束したのに…。
今日は何もないって言ったじゃんか…。

新部長となった日吉は、引き継ぎや新しい仕事で毎日忙しい事なんて分かっている。
だから…一緒に居たいのを我慢していたのに…。
今日は久しぶりに同じ時間を共有出来るんだと…楽しみにしていたのに。

俺は後ろのフェンスに凭れ掛かると、静かに目を閉じる。

「………ばか…。」

午後の陽気な暖かい日射しとは裏腹に、日吉が一向に姿を見せない事が不安でたまらない俺の気持ちは沈むばかりだった…。
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