「Ib」短編。
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どうしよう・・・。
目の前には、ボロボロのコートを着た男の人が苦しそうにして倒れてる。
・・・前に、街で似たような格好で、道に座り込んでるボロボロの人を見つけた時は、『ああいうのに関わっちゃダメ』って。
・・・。
悪いとは思ったけど、男の人が持ってた鍵を取って部屋を出た。
あの人が持ってた鍵で錠を開けたその場所には、青い服の女が絵から抜け出して、青いバラをむしり取って花占いをしていた。
「・・・っ!!」
私の持ってるバラを見つけると襲いかかってきた。
こんな所早く出なきゃ!
部屋を出て、外から鍵をかけようとドアノブに鍵をさす。
・・・・・・。
あの青いバラ。たぶん、さっきの男の人のだよね。
「・・・・・・。」
でも、『ああいうのに関わっちゃダメ』だって。
・・・でも、
でも私、困ってる人がいたら助けてあげなきゃダメだと思う。
おもいきって化け物がいた部屋に引き返した。
取り返した青いバラと、ちょっとちぎられちゃった赤いバラを花瓶に生けると、二輪ともすっかり元気になった。
元気になった青いバラを男の人に返すと、すっかり元気になってくれた。
「アタシは、ギャリーっていうのよ。あんたは?」
・・・イヴ。
「よろしくね、イヴ。さ、ここから出る方法、一緒に探しましょ。子ども1人じゃ危ないわ。」
「あ、待って・・・。」
「ん?どうかしたの?」
「・・・。」
『知らない人について行ったらダメ』って言われてるから。・・・でもどうしよう。こんな事言ったら、怒るかな。
迷っていたら、ギャリーがしゃがみこんで、心配そうな顔でこっちを見上げた。
「大丈夫?どこか痛いの?」
「・・・ううん、大丈夫。」
「そう、よかった!何かあったら言ってね。遠慮なんて、しなくていいから。」
「うん。」
『遠慮なんて、しなくていい』その言葉で気持ちが軽くなった気がして、気がついたら頷いちゃってた。
「さぁ、行くわよイヴ!」
ギャリーは大人だし、大丈夫だよね。頼もしそうな・・・
「ぎゃーー!!」
ドサッ
「・・・ギャリー、大丈夫?」
ギャリーが進もうとした先にあった絵が、ギャリーになにか吐きかけた。ギャリーはびっくりしすぎてひっくり返ってる。
「ふふふっ・・・。」
ギャリー、変な顔。
「い、今のはちょっと驚いただけよ、本当よ!とにかく、気をつけて進むわよ。ほら、行きましょ。」
「うん。」
ギャリーのとなりに並んで歩いた。
・・・『知らない人について行っちゃダメ』だけど。でも、ギャリーは知らない人じゃないもん。それに、ついて行ってないよ。一緒に、歩いてるだけ。