「Ib」短編。

□2
1ページ/2ページ



どうしよう・・・。
目の前には、ボロボロのコートを着た男の人が苦しそうにして倒れてる。


・・・前に、街で似たような格好で、道に座り込んでるボロボロの人を見つけた時は、『ああいうのに関わっちゃダメ』って。

・・・。
悪いとは思ったけど、男の人が持ってた鍵を取って部屋を出た。


あの人が持ってた鍵で錠を開けたその場所には、青い服の女が絵から抜け出して、青いバラをむしり取って花占いをしていた。

「・・・っ!!」

私の持ってるバラを見つけると襲いかかってきた。

こんな所早く出なきゃ!

部屋を出て、外から鍵をかけようとドアノブに鍵をさす。

・・・・・・。
あの青いバラ。たぶん、さっきの男の人のだよね。

「・・・・・・。」

でも、『ああいうのに関わっちゃダメ』だって。

・・・でも、


でも私、困ってる人がいたら助けてあげなきゃダメだと思う。

おもいきって化け物がいた部屋に引き返した。



取り返した青いバラと、ちょっとちぎられちゃった赤いバラを花瓶に生けると、二輪ともすっかり元気になった。

元気になった青いバラを男の人に返すと、すっかり元気になってくれた。

「アタシは、ギャリーっていうのよ。あんたは?」

・・・イヴ。

「よろしくね、イヴ。さ、ここから出る方法、一緒に探しましょ。子ども1人じゃ危ないわ。」

「あ、待って・・・。」

「ん?どうかしたの?」

「・・・。」

『知らない人について行ったらダメ』って言われてるから。・・・でもどうしよう。こんな事言ったら、怒るかな。

迷っていたら、ギャリーがしゃがみこんで、心配そうな顔でこっちを見上げた。

「大丈夫?どこか痛いの?」

「・・・ううん、大丈夫。」

「そう、よかった!何かあったら言ってね。遠慮なんて、しなくていいから。」

「うん。」


『遠慮なんて、しなくていい』その言葉で気持ちが軽くなった気がして、気がついたら頷いちゃってた。

「さぁ、行くわよイヴ!」

ギャリーは大人だし、大丈夫だよね。頼もしそうな・・・

「ぎゃーー!!」

ドサッ

「・・・ギャリー、大丈夫?」

ギャリーが進もうとした先にあった絵が、ギャリーになにか吐きかけた。ギャリーはびっくりしすぎてひっくり返ってる。

「ふふふっ・・・。」

ギャリー、変な顔。

「い、今のはちょっと驚いただけよ、本当よ!とにかく、気をつけて進むわよ。ほら、行きましょ。」

「うん。」

ギャリーのとなりに並んで歩いた。

・・・『知らない人について行っちゃダメ』だけど。でも、ギャリーは知らない人じゃないもん。それに、ついて行ってないよ。一緒に、歩いてるだけ。


次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ