最遊記
□素直じゃない言葉を…
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気になる、とっても。
気にしてない?俺は気にしてる。
なんで許したの?なんで何も言わなかったの?
俺のこと、どー思ってんの?
ね、教えてよ。
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あの日の出来事から数日、
三蔵はなーんにもなかったみたいに俺と話す。
同じように怒鳴って、ハリセンで叩いて、眉をひそめる。
気にしてない、三蔵はそー言ってたけど。
正直言って俺はすごーく気にしてる。
たしかに三蔵から見れば俺はガキかもしれないけど、あの行為が何を意味してるのかぐらい知ってるし、無理矢理していーもんじゃないことも知ってんだから。
そのことがわかるぐらいにはオトナでいるつもりだ。
そんなことを考えながら、俺は煙草をくわえて新聞を眺めている三蔵にちらりと目を向けた。
一瞬目があった気がしたけど、すぐにふい、と逸らされてしまった。
ちなみに、今日は宿でのんびりな日。
なんかジープの調子が悪いらしくて、一日だけ休ませることになったんだ。
「なぁ、三蔵」
沈黙のままなのも何なので、聞く必要は別にないけど、何となく気になったことを聞いてみることにした。
「………なんだ」
眼鏡のレンズ越しに、アメジスト色の目がこっちに向いた。
「八戒は?」
「ジープの看病だ、」
「じゃ、悟浄は?」
「八戒と一緒だ」
「ふーん……」
再び、落ちる沈黙。
どうせここには三蔵と俺しかいないし、そう思ってあの日のことを聞いて見ようと俺は口を開こうとした。
が、声を発する前に調度三蔵の後ろ辺りにあったドアが開かれた。
「三蔵、頼みたいことがあるんですが…」
ドアを開いた張本人、八戒は俺の考えてることなんて全然知らずに三蔵の背中に向かって話しかけた。
「あの、ちょっと買い物に行ってきてくれませんか?」
「はぁ?なんで俺が……」
三蔵はがさりと新聞を畳んで、読物をする時だけかける眼鏡を押し上げる。
アメジスト色の目にフシギそうな色が浮かんだ。
それもそうだ。買い物に三蔵が行くことはかなり珍しい。
大概三蔵は留守番だ。
「僕はジープの世話をしないといけないんです。それにどうせもう煙草がきれるでしょう?そのついででいいですから」
八戒がそんなことを言った後、三蔵が煙草のケースを振ると、本当に煙草は無くなっていた。
八戒すげー、三蔵の煙草事情まで把握してる…。
「ね、いいでしょう、三蔵?」
「・・・チッ」
八戒の笑顔の圧力に押されるようにして、不機嫌そうな三蔵はその重い腰を上げた。