ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□荒鷲殿下の帰還
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カレナ公国
首都
プラッテンハウム

議事堂
貴族員議会


「賛成48。
反対13。
棄権5。
賛成が過半数。
よってハーメル首相への不信任決議案は可決されました」

貴族議員議長バルド侯爵が木槌を打ち付けると、賛成に票を投じた貴族議員達が一斉に拍手で応える。
反対票を投じた議員達は一斉に立ち上がり、ロクな挨拶も無しに荒々しく議場を後にした。
言わずもがな。
彼らはハーメル派の議員達だ。



そんな彼らを余所に、大公派議員達は談笑を交えながら出欠を押し、和やかに議場を後にした。
勝者の余裕という奴だろうか。
彼らは、その足でバルド侯爵の邸宅に集い、今後についての会議を開いていた


「私達は今日。
ハーメル首相を解任し、公国軍の指導権をも掌握しました。
この決議に従わない部隊は反乱軍として処分される…
同族同士での殺し合いを避けれるか否かは、私達の立ち振る舞い如何です。
皆さん。
ここからが正念場です。
皆様方の所領内に展開する部隊に、この決定を伝えて下さい。
武装解除については、連合軍部隊の指示に従い武装解除を。
既に停戦は発効しています。
これ以上の被害を出さない為にも、皆様方の力を貸して頂きます。
宜しくお願いします」

辺境伯が大公派議員達に呼び掛けるなか、大公派議員の筆頭であるバルド侯爵が辺境伯に語りかけた

「辺境伯。
国家親衛隊を中心とした部隊に加え、北方軍集団と東部方面軍に不穏な動きがあるそうだ。
ヴェストレーベン市に集結中の部隊を首都圏まで動かせるかね?
この期に及んで、ハーメルが黙っているとは思えないからな…
奴らの動きを抑えたい」

バルド侯爵の穏やかでない提案に、辺境伯も思わず険しい顔になる


「大規模部隊の移動は連合軍司令部と交渉しなければなりませんが、連合軍もプラッテンハウムは押さえたい筈です。
陛下を軍団の司令官とすれば、我々への恭順を拒む部隊も下手な手出しは出来ない…
私が陛下を説得してみます。
対外戦争の次は内戦ですか…」

ふと頭上に轟音が走り、バルド邸のテラス席から見上げた空には、戦闘機隊の描き出した白い航跡が幾筋も走っていた。
パイロットとして自分も空を翔た日々。
それらの思い出と、愛しい我が子の顔を思い浮かべ、辺境伯はグラスに口をつけた

「レオンハルト…
生き残れよ……」












































21:25

ゲオルグ空軍基地

315号室


二人の衛兵が入り口を固める部屋の中では、ビルシュタイン大尉が昼間の戦闘を生き延びた少年パイロットと向かい合っていた

「レオンハルト・フォン・ヴェストレーベン…
どおりで何処かで見た顔よね。
私を覚えてる?」


苦笑いの様な笑みを浮かべるビルシュタイン大尉の問い掛けに、レオンことレオンハルト・フォン・ヴェストレーベンは、薄い黄色に近い金髪を掻き揚げ手から口を開いた

「私も貴方もカレナ大公の血族。
忘れる訳がありません。
やはり貴方もシュナイダー家同様に父の影響で?」

エメラルドグリーンの瞳がビルシュタイン大尉を見つめるなか、大尉は首を横に振った

「逆よ。
私達が辺境伯とハシム家を動かしたの。
もうカレナの敗戦は間違いない。
なら、せめて西カレナと南カレナだけでもと思ったのよ。
プラッテンハウムを連合軍に押さえられても、私達が西カレナさえ掌握していれば、カレナ全土に対するユークの影響力は削がれるわ。
代わりにグリーメイアの力が強くなる。
だから私達はグリーメイアと手を組んで、戦後の再建で主導権を握る事にしたの。
首都圏と東カレナは、ユークの手に堕ちる事になるけど、それでも西カレナと南カレナは残る。
まだカレナは残るの」
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