ACE COMBAT 〜DOG OF WAR〜
□マーク
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2005年
6月20日
マドラステ基地
この基地には珍しく、駐機場には海軍の哨戒機が羽を休めていた。
E-2ホークアイ
その機体はグリーメイア海軍唯一の原子力空母。
ヴェア・ヴォルフから客を乗せてやって来た。
その客というのもコレまた意外。
なんと一人の記者がやって来たのだ。
それも軍の広報担当者などでは無く、グリーメイア国営放送の記者だった。
グリーメイア国営放送は国内唯一の報道機関であり、テレビ局におさまらずラジオ放送や新聞の発行まで行っている。
その彼の目的はただ一つ。
カレナ空軍のエースパイロットをもってヒルドルヴといわしめた、グリーメイア空軍きってのエースパイロット。
ハルド・ゲルニッツ中尉の素顔を捉える事だった。
既に彼はハルの部屋に押し掛け、取材の準備を始めていた。
年季の入った一眼レフカメラと、手に持った小型の高性能ハンディカム。
そして机の上には手のひらサイズのレコーダー。
準備万端整えて、いざ狙わんエースの素顔。
その気迫を前に、ハルは固まっていた。
エースを硬直させる記者の名は
[ディック・エルスマン]
彼はグリーメイア国営放送に籍を置くジャーナリスト。
だが彼曰わく、先週まではフリーのジャーナリストだったらしい。
彼も色々と訳ありの様だ。
そんな彼を見ながら、フランクリンは腕を組んでニヤついていた
「久しぶりだなフランクリン。
パイロットになれた気分はどうだ?」
フランクリンにハンディカムを向けながら、子供の様な笑みを浮かべるディック。
そんな彼に、どこか照れくさそうに笑うフランクリンが新鮮だ
「まぁ悪い気分じゃないね。
何せヒルドルヴの補佐が出来る。
昔と違って色々と大変だけどな」
「昔は昔って事さ。
しかし良い顔してるなぁ。
お前さん、こんなにハンサムだったか?」
「なぁにをほざくかと思えば、ひっぱたくぞバカ。
………今のカットな」
笑いながら会話を続ける二人を見て、俺の肩から少しずつ力が抜けて行った。
いきなり部屋に入って来て、いきなり取材の準備を始められては、何をして良いやら分からなくなる。
どうやらフランクリンと彼。
ディックは昔からの付き合いらしい。
それだけが救いだった
「じゃ主役にインタビューと行きますか。
大丈夫?」
ジャーナリストとは思えない軽さ。
きっとフランクリンがジャーナリストになったら、多分だがディックの様になるのだろう
「大丈夫です。
何から話しますか?」
俺の言葉を待っていたかの様に、ディックはハンディカムを戸棚に固定し、俺に位置を指定してきた。
彼の誘導に従い、俺は指定された位置に座り直す。
そしてディックから様々な手順を説明され、彼が望む通りになるよう打ち合わせを済ませ、いよいよ取材が始まった
「では一つ目から。
何事も順序が大切ですからね」
確かにそうだ。
ディックは手に持ったメモを見ながら言葉を紡ぐ
「この戦争についてですが、あなたは何を思って戦ってらっしゃるのか聞かせて下さい。
何でも構いません」
ちょうどディックの斜め後ろにあるハンディカム。
ディックの声などは編集で消すつもりらしい。
だから俺は、ディックが質問してから三秒数えて口を開いた。