ACE COMBAT 〜DOG OF WAR〜
□ケーニッヒ
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2005年
7月1日
12:15時
アルヴァ空軍基地
司令部ビル
コックピットから降り立った俺達は、耐Gスーツのまま司令部ビルに向かっていた。
アルヴァ空軍基地司令部も、建設中だった司令部の一号棟と二号棟が完成し、立派な司令部ビルが出来上がろうとしていた
「金も有る所には有るだよなぁ…
マドラステアにも少し回してくんねぇかな。
最近ハンガーが手狭になって来た感があるし、なにより第二兵舎のトイレの流れが最近わりぃんだよ…」
フランクリンの愚痴に頷いていると、ヴォルフが溜め息混じりに口を開いた
「それは中尉がトイレにガムを流すからです…」
原因が判明し、俺達三人の目線は一斉にフランクリンの顔を捉える。
すかさず二番ハンガーに顔を向け、その視線から逃れるフランクリンだが、ヴォルフは更に続けた
「でも、やっぱり僕も少しは思いますよ。
ハンガーも修理に修理を重ねて、もうボロボロな所もありますし…
最近は皆さん夜間出撃が多いから、暖機音や作業の音がハンガー内から響いて響いて」
確かにハンガーの作業音や暖機音は、ハンガー内だけで済ますべきだ。
離着陸時の音には慣れて来たが、ハンガーから漏れて来る音だけは、不規則なだけに苛立ちの元になる事が多い。
所々に穴が空いているハンガーなら尚更だ……
マドラステア基地が夜間爆撃を受けて以来、周辺の哨戒は昼夜を問わず強化された。
おかげで、寝不足生活が板に付いた者。
特にフランクリンは珍しく長く寝た為に、朝から調子が悪い様だった。
アサルトライフルで武装した衛兵達に返礼し、俺達は司令部ビルに入る
「ぜってぇ二週間の長期休暇をゲットしてやるから見てろよクソ参謀長…!」
愚痴にボヤキと怒りが混ざり合った、素晴らしい言葉を発するフランクリン。
俺達の気持ちを代弁して愚痴っているみたいだ
「待っていたぞ大尉。
急を要する案件が浮上した。
呼び出してすまないな」
差し伸べられた手を握り返し、新任司令の顔を目の前に捉え直す。
見た顔だ
「シュレスヴィヒ撃沈作戦以来か?
久しぶりだな大尉」
思い出した…
「お久しぶりですミッチャー少佐。
大佐になられたのですか…」
ミッチャー少佐。
いやミッチャー大佐の襟には、真新しい階級章が光っていた
「君達のおかげだ。
あの後も東部戦線への大規模空輸作戦などを指導したが、君達がシュレスヴィヒを撃沈してくれた功績が一番だ。
感謝している。
元気そうで安心したよ」
嬉しそうな、それでいて優しい笑みに、俺も思わず顔がほころぶ。
あの戦闘では死にかけたが、あれは大佐のミスじゃない。
大佐はあの時、集まったパイロット達に頭を下げてまで任務を託した。
見上げたモノだ。
参謀や司令は、だいたい胸を張って偉そうにしているものだが、この人はどこか違う。
あの時そう思った
「さっそくだが来てくれ。
また君達に飛んで貰わねばならなくなってな」
ミッチャー大佐と、大佐の秘書に案内されるままに、俺達は司令部ビルの中心部に歩を進めた。