ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□目的と真意
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2005年

7月2日

18:30

カレナ公国西部
ゲオルグ空軍基地

基地司令マンシュタイン中将の計らいで、俺達には各々に士官用の個室が与えられた。
援軍のキマイラ隊は未到着だが、とりあえず俺達は大部屋に集まって、もっかリラックスタイム中だ。

離着陸を繰り返すカレナ軍機の騒音と、Cー17から運び出される装甲車輌達が奏でる無限軌道のハーモニー。
何だろう。
やたら五月蝿くて仕方ない

「しかし…
デカい基地だよな」

5000m級の滑走路が二本と、3500m級の滑走路が二本。
更に工廠や大規模な整備施設をも抱え、娯楽施設や軍人とその家族用の住宅地まである。
基地というより、むしろ街といったレベルだ。
マドラステアやセントラルバースも増築中だが、ゲオルグ空軍基地は更にワンランク上の規模だ

「コーヒーも美味いし遊ぶ場所もある。
俺は此処に居座っても良い。
むしろ住み着きたいね」

カップを抱えながら笑うタキガワ大尉とボストーク隊の面々。

確かに此処なら退屈する事は無いだろう。
カレナ軍の兵器も見学し放題だ。
対空自走砲に取り囲まれたSAM陣地と、鉄筋コンクリートと土手で構成される防空ハンガー。
土嚢と土手で囲まれた高射砲の砲塁。
厳重な対空陣地群に守られた基地施設は、攻撃するのも難しい強固な構成になっている。
それらを見て回るだけでも、3日はかかりそうだ

「よぉグリーメイアの客人方。
此処は気に入ったか?」

俺達が声に目を向けると、そこにはカレナの軍服に身を包んだ三人の軍人達が居た。
一人は女性。
恐らく彼女がドラグーンリーダーであろう

「グリーメイア空軍では、お目に掛かれない規模の基地です。
施設も充実していますし、此処なら退屈とは無縁だと感心しています」

「カレナの主要な空軍基地は、此処と同レベルの設備を持っているわ。
特に首都防空隊の司令部が置かれるゲルシュタイン基地は、此処とは比べものにならない規模よ」

黄色に近い透き通った金髪を後ろで結び、白い歯を見せて笑う女性士官。
内から輝いている白い肌。
その首に綺麗な金髪がかかり、それらはビルシュタイン大尉の魅力を更に高めていた。



綺麗だ……
思わず生唾を飲むが隣の咳払いと共に、太ももに凄まじい激痛が走った。
まるでナイフで刺されたかと思った程だ。

咳き込みながら隣を見ると、黒い笑みを浮かべたモニクの顔が目に映る。

……ごめんなさい

「しかしまぁ…
暫くぶりって感じだなぁ」

「まぁな…
お前も元気そうで何よりだ」

蛇に睨まれたカエル。
いや。
モニクに睨まれた俺を余所に、タキガワ大尉とカレナ軍士官は握手を交わし、互いに雑談を始めた。
しかも流暢なカレナ語での会話だ。

何を話して居るのか分からないが、お互いに笑顔である事から、それほどシビアで暗い話では無さそうだが、やっぱりカレナ語はよく分からないと再認識する

「お前がヒルドルヴか。
話はアイツに聞いた」

タキガワ大尉と話していたカレナ軍士官が、腕を組ながら俺の前に立ち、俺の足から頭までをなぞる様に睨み付けて来る。
あれだ。
この人はヤクザかチンピラだ。
間違えて軍人になった感じの人だ。

妙な確信を得ながら、俺も負けじと目力を添えて見返す


「グリーメイア空軍少佐。
ハルド・ゲルニッツだ。
貴方がレッドナイツリーダーだな?
顔合わせは初めてだが、共に戦った人間の声は忘れない」

カレナ軍士官は鼻と肩で小さく笑い、組んでいた腕を解いて手を差し伸べて来た

「カレナ空軍少佐。
シュルツ・フォン・フランドル。
御名答。
俺がレッドナイツリーダーだ。
お前には1ヶ月ほど前に墜とされたばかりだが…
あの時に部下を二人失ったが、それはチャラにしてやる。
むしろ感謝している。
あの二人は中央から派遣された内偵だったらしいからな」

フランドル少佐と握手を交わし、俺は一先ず胸を撫で下ろした。
とりあえず、本物志向の方で無くて良かったなぁと…
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