ACE COMBAT 〜DOG OF WAR〜
□黄色の炎
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2005年
7月5日
08:45
シュレジャン基地
シュレジャン基地に到着した12機のパイロット達は、既に配属されていた地上勤務の軍人達に機体を任せ、真新しい隊舎に入って部屋割りを行っている。
そんななか、ハルはゲオルグ空軍基地に連絡を取るべく、システム通信隊が配置された通信室に居た
「どうしたんだ?」
おかしいと何度も呟く通信隊の兵士を見ながら、俺は首を傾げていた。
先ほどまで空中からでも繋がったゲオルグ空軍基地との通信が、シュレジャンに到着したと同時に不能となる筈は無い
「ダメです少佐。
聞こえて来るのはノイズばかりで…
アンテナを再調整して見ますので、ここで少しお待ち下さい」
「いきなり故障…?
初期故障にしても早すぎる…」
通信兵がアンテナを見に行くなか、俺は何だか妙な胸騒ぎがしてならなかった…
同時刻
ゲオルグ空軍基地
「通信システムの異常?
いつ頃からだ?」
「8時40分頃だったと思います。
それと妙な通信電文を受信しました…」
「妙な電文…?」
「ブレイクアロー…と」
ざわつく通信兵達のもとに、シュナイダー少佐が現れる。
フライトスーツ姿のシュナイダー少佐は、通信兵達を押しのけて全ての基地回線に向けて叫んだ
『総員戦闘配置!
繰り返す!
総員戦闘配置!!
パイロット各員は発進準備急げ!
カレナ公国が停戦を破棄して攻勢に出たとの情報が入った!
敵の作戦目標は本基地の制圧にある!
戦闘配置急げ!!』
グリーメイア空軍所属のC-17二機が着陸するなか、ゲオルグ空軍基地はシュナイダー少佐の声により臨戦態勢に入る。
すぐさまQAAMやXMAAを搭載したグリペンCの編隊が離陸し、基地上空の防空と戦闘哨戒に向かうグループに別れ、それぞれに行動を開始する
「あの…
シュナイダー少佐はおられますか?」
シュナイダー少佐が振り向いた時、彼は言葉を失った。
そこにはマドラステアに向かった筈の女性。
モニク・ブリュワーズが居た………
09:00
マドラステア空軍基地より東に3キロ地点
「第3大隊全部隊に告げる!
これより目標への攻撃を開始する!
空軍の戦闘爆撃機による攻撃を合図に全砲火一斉射撃!
その後はヘリボーンで敵基地に突入する!
第3大隊行くぞ!」
森の中に潜んでいた数機のNH90が一斉にメインローターを始動させ、合図であるストライクイーグルの攻撃を待つ。
遠くから聞こえて来たジェットエンジンの轟音を聞き、第3大隊の指揮官は口を歪めて獲物を見据える。
マドラステア空軍基地。
グリーメイア空軍の対カレナ戦の最重要拠点。
ここを陥落させる事が出来れば……
彼は祖国の未来を思い描き、ストライクイーグルから投下されたクラスター爆弾を目で追っていた。
09:45
シュレジャン基地
通信システムが不調ななか、4機のC-17がシュレジャン基地へ接近していた。
国籍や各種マーク。
そしてIFFはグリーメイア空軍。
味方機だ
『こちらグリーメイア空軍。
第326輸送航空隊所属。
第81通信隊と機材を乗せ、報告にあった通信システムの初期不良改善に来た。
着陸許可を』
「こちら管制塔。
二機じゃなかったのか?」
『初期不良の改善以外にも、備品や補給物質も乗せて来た。
命令とはいえ、いきなり二機追加されちまった。
報告は受けていないか?』
「こちらでは何も聞いていない。
何しろ通信システムは不調だし、当基地は稼働して間もないからな。
了解だ。
着陸を許可する。
随時着陸せよ」
『了解だ。
随時着陸する』
次々と着陸して来る四機のC-17。
それに合わせて接近して来るヘリ独特の飛行音。
ハル達が違和感と異変に気付いた時には、既に手遅れに近い状況であった……