ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□新生ハルバート隊
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同日

午後4時15分


俺達は空に居た。
オーシア・ユークトバニア両国の宣戦布告演説より約二時間。
北部戦線から12万人にものぼる将兵の撤退作戦が開始されたのだ。
既にアルヴァ・ガル岬沖に展開を終えたオーシア・ユークトバニア連合艦隊。
そしてグリーメイア海軍の残存艦艇からのミサイル攻撃も開始されており、レーダー上には時折だがミサイルの群れを検出する事も出来る。
そして俺達12機編隊の後ろにも、グリーメイア海軍機の編隊が続いていた

『こちら空中管制機ノルトヴィント。
各機聞け。
これよりオーシア、ユークトバニア、グリーメイアの三軍による共同作戦を開始する。
本作戦はオペレーション・ヴィルヴェルヴィントと呼称。
我々の担当するエリアは、北部戦線の最北端にあたるザルツ周辺である。
作戦内容は、脅威となるカレナ公国軍部隊の撃破。
そして撤退する友軍の援護のみだが、変化を続ける戦場を見渡し、撤退する友軍部隊の状況を見極め、適切な支援攻撃と的確な状況判断を求められる事になる。
各員。
気を引き締めて任務を遂行して貰いたい。
各員の健闘に期待する。
以上だ』

ノルトヴィントからの作戦内容伝達とアドバイスを聞き終えた各機は、既に撤退を開始した友軍部隊の上空を目指して降下して行く

『ハルバート・ワンより各機。
作戦開始だ。
撤退する友軍の損害を抑えつつ、各隊の判断で追撃するカレナ軍部隊を叩け。
各員の健闘と幸運を祈る』

シュライヒャー大尉の言葉を皮切りに、空には多数のエアバンドが入り乱れ始める。

ある者は攻撃状況の報告をし、またある者は被弾報告を入れる。

そんな中、俺達アーマナイト隊も作戦行動に入った

「アーマナイト各機へ。
二機ずつに散開して友軍部隊の支援を開始。
対地支援は俺とフランクリンで行う。
モニクは俺。
ヴォルフはフランクリンが攻撃中、常に俺達の上で対空警戒を行ってくれ」

『了解だハル。
二人共良いな?』

フランクリンが返事を促す中、二人は短く言葉を返した。
既に地上では、追撃するカレナ公国軍部隊からの砲撃やロケット弾が着弾し、土砂や火柱を巻き上げ始めていた

『クレイモアよりスクトゥム。
これより対地攻撃に入る。
対空警戒を頼む』

『了解です少尉!』

二機は派手にバンクし、地上の戦火に迫って行く。
フランクリンの動きにも難なく追従するヴォルフのイーグル。
ヴォルフはパイロットとしての腕を、フランクリンの下で確実に磨きつつあった。

そんなヴォルフを見た俺は、その姿が懐かしく思えた。
俺も一週間前までは新米中の新米。
それこそ右も左も分からないド素人だったのだ。

だが今は新米パイロットを育てる使命を与えられた指揮官。
昔の自分を見つめるのではなく、今の自分を見つめて部下を導かねばならないのだ。

眼下で着弾し始めたフランクリンの爆撃を見ながら、俺は斜め後ろを飛ぶモニクに指示を出す

「コレより対地攻撃を開始する。
対空レーダーと目視による警戒を行ってくれ。
頼むぞフレイル」

『フレイル了解。
攻撃中の隊長に敵機は接近させません。
隊長は、ただ攻撃に集中して下さい』

頼もしい彼女の言葉を聞き、心を決めて操縦桿を押し込んだ。
従順に降下を始めるイーグルの中で、俺はHUDの中心に砲撃を行うカレナ公国軍砲兵隊の陣地を捉えた

「UGBL投下!
投下!!」

陣地目掛けて落下していく二発のUGBLを見届け、俺は操縦桿を力いっぱい引き寄せた。
その直後に砲兵陣地は大爆発を起こした。
そんな中、火柱と惨状に包まれた砲兵陣地を横目に、俺は新しい目標を捉える。
それは二機のAH-64だ。


撤退する友軍機甲部隊に対し、容赦なく対戦車ミサイルを放つ二機のアパッチ。
そのうちの一機に、俺はロックオンで応えてみせた。

緊急回避を始めるアパッチ。

今度は俺がミサイルを放つ番だ

「アロウ!
フォックス・ツー!」

白煙と轟音を吐き出しながら、凄まじい勢いでアパッチ目掛けて飛んで行く。
そのままミサイルは回避運動中のアパッチのローター基部を容赦なく直撃し、有無を言わさずアパッチを空中に四散させた

『アーマナイトか…!
助かった!
全車!
俺達の上には噂のアーマナイトが居るぞ!!』

そのまま機関砲で残る一機を撃墜し、俺はバンクを振りながら急上昇をかける。
眼下の戦車や装甲車の上には、グリーメイア軍第三機甲師団の残余達がよじ登り、俺とモニク機に力一杯手を振っていた。
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