ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□ケーニッヒ
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擦れ違う将校達に返礼しながら着いた先には、既にスクリーンとプロジェクターが設置されていた。
手早い事だ

「座ってくれ。
ハンセン。
始めろ」

ハンセンと呼ばれた将校は短く返事をし、電気を消してプロジェクターを作動させる。
映し出された写真を見て、俺達は思わず口を空けてしまった

「戦艦ケーニッヒボルン。
カレナ海軍が誇る最強の軍艦だ。
全長340m。
全幅96m。
主砲は四連装61口径500mm砲。
多数の対空火器と巡航ミサイルを備えた洋上の弾薬庫。
動く洋上要塞と言っても過言ではない」

戦艦ケーニッヒボルン。
500mmというバカでかい砲を四連装で備え、この鉄の塊は一体何を撃つつもりなのだろうか…

「この写真は戦前の観艦式で撮られたものだが…」

写真がスライドし、新たな写真がスクリーンに映し出された。
何やら衛星から撮られたものらしいが

「三日前だ。
出航準備中のケーニッヒボルンを、たまたまオーシアの偵察衛星が捉えた。
その翌日には」

再び映し出された写真は同じ場所だが、ケーニッヒボルンの巨体は消えている。

と言う事は…

「昨夜。
グリーメイア領海内を哨戒中の海軍哨戒機が、南下中のカレナ艦隊を偶然にも捉えたものだ。
ケーニッヒボルン以下のカレナ艦隊は、カレナ北部のアマンシェ軍港を母港としている。
そのアマンシェを出航して南下中だとすれば、早くとも今日中にはグリーメイア領内の沿岸部を、巡航ミサイルの射程内に収める事が可能だ。
言いたい事が分かるかね?」

「カレナ艦隊は、沿岸部を巡航ミサイルと艦砲射撃で攻撃するつもりで…?」

「そうだ。
巡航ミサイルによる攻撃と艦砲射撃の力は、君達の想像を絶する破壊力を生み出す。
あってはならない事態だ…
小さな街を一つ消し飛ばしても余りある…!」























街が消し飛ぶ…?
冗談じゃない!
























「海軍は何やってんだ…!
もう迎撃に出てんだろ?
海軍にやらせりゃ良い!」

フランクリンの言葉に対し、ミッチャー大佐は咳払いの後に答えた

「空母ヴェア・ヴォルフ以下の艦隊が出航準備中だが、ケーニッヒボルンの周囲を固める護衛の艦艇だけでも、我々は戦力的に圧倒されている…」

ミッチャー大佐が手を動かすと同時に、新たな写真が映し出された

「これは護衛の艦艇とケーニッヒボルンを捉えた写真だ。
巡洋艦2。
駆逐艦8。
フリゲート8。
オーシア艦隊が攻撃を仕掛けて数は減ったが、それでも未だに戦力的不利は解消されていない。
更に南下中のカレナ艦隊も新たに確認された。
強襲揚陸艦多数を引き連れてな…」

絶望的だ…
今回派遣されたユークトバニア艦隊は、短期決戦を見越しての艦隊編成だと聞いた事がある。
オーシア艦隊は空母三隻を有する強力な布陣の筈だが

「ユーク艦隊はまだしも、オーシア艦隊は何やってんだ?
ヒューバード級を三隻も引っさげて来たんだ。
余裕な筈だろ?」

フランクリンが吠えると同時に、再び写真が切り替わった

「相手は多数の艦対空ミサイルを備えた戦艦だ。
優れた対空・対水上レーダーと高性能SAM。
そしてハリネズミの様に設置されたCIWSにより、ケーニッヒボルンはイージス戦艦と呼ばれている。
イージスを持った戦艦と、護衛につく多数のイージス艦により、オーシア第三艦隊は多くの艦載機を失った。
カレナ艦隊の防空能力は落ちたが、艦載機が無くては決定打を
打てないのも事実。
そこで我々に白羽の矢が立った訳だ。
オーシア第三艦隊との交戦で、カレナ艦隊にも多数の損害が出ている。
叩くなら今しかないのだよ。
航空機と対艦ミサイルによる飽和攻撃で、カレナ艦隊を徹底的に叩き潰す。
回復の暇を与えずにな。
これが統合参謀本部の出した結論だ」

確かに戦力的には不利な状況ではあるが、第三艦隊と交戦した後なら、カレナ艦隊にも疲れが出ている筈。
そこを航空攻撃で一挙に殲滅する。
初の対艦攻撃任務だ

「作戦参加の戦闘機やパイロットは、全てセントラルバースに集結。
アルヴァからも三名の訓練生を選抜し、タキガワ大尉指揮下のパイロットとして実戦参加させる事となった。
それ以外の人員・機材は、訓練生達も含めてアルヴァと周囲の都市防衛に回す。
作戦についての説明は以上だ。
辛い戦いになるだろうが、また君達にも頑張って貰う。
頼りにしているぞアーマナイト隊」

艦砲射撃と巡航ミサイルが着弾すれば、間違いなく沿岸部は壊滅的な打撃を被る。
特に北部から南部にかけての沿岸部一帯には、石油精製施設や工場群が密集している。
そこに着弾した時の被害は計り知れないものだ……
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