ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□ケーニッヒ
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「本日15:00をもって、オーシア第三艦隊と交代する形でヴェア・ヴォルフ戦闘群が、セントラル・バースを抜錨。
一路カレナ艦隊の攻撃に向かう。
オーシア第三艦隊は補給を受け、ヴェア・ヴォルフ戦闘群の後詰めに回る。
君達は13:00までに支度を整え離陸。
C-130一機を伴ってセントラルバースに向かって貰う。
既に機体の準備はしてある。
マドラステア航空団もセントラルバースに移動中だ。
急ぎ支度を整えよ」

腕時計を確認する。
現時刻は12:35時。
耐Gスーツのままで良かったぁ…

俺達はミッチャー大佐に敬礼し、大慌てでハンガー目指して走り出す。
13:00までに離陸せよと仰せなのだ。
司令部ビル内だろうが関係無い。


司令部ビル前で整列している訓練生達に掛けより、とりあえず握手を交わしていく

「また一緒に飛べる日を楽しみにしてます大尉!
気をつけて!」

敬礼するジョーに返礼し、俺はそのまま手を差し伸べた

「エヴァの事。
気付いてやれよ?
しっかりな」

首を傾げるジョーに苦笑いを浮かべながら、とりあえず握手を交わす

「行くぞハル!」

声の方を見ると、オルドリン大尉とフランクリンが大げさに手招きしている。
名残惜しいが仕方ない…

「頑張れよジョー。
またな」

ジョーの肩を叩き、訓練生達に手を振りながらハンガー目指して駆けていく。

やせったい事だ…


「頑張って来いよハル!
またな」

手を振るオルドリン大尉に走りながら敬礼し、ハンガーから引っ張り出されたラプターに飛び乗る。
各種計器をチェックし、キャノピーが下りていくなか、俺は再び訓練生達に敬礼を送った。

休暇の代わりとは言え、なかなか貴重な体験をさせて貰ったのは確かだ。
まさか、この俺が訓練生達に指導するなんて。

まさに思っても見なかったが、訓練生達の顔は本当に晴れやかで、前線勤務で疲れ切ったパイロット達の顔とは、まるで違っていた。
これから彼らも前線勤務を体験し、疲れ切った顔になるのだろうが、俺にも最近まで訓練生の時代があったのだと、なんだか懐かしく思えた。
つい1ヶ月前の事なのに…

俺も、あんな笑顔で手を振っていた時があったのだと…

誘導路の端で手を振っていた訓練生達は死角に入り、いよいよ灰色の滑走路を目の前にする俺達。
スクランブル同然の離陸だが、この先には幾多の試練が待ち受けているに違いない。
迎撃の為の離陸では無いのだから。


一足先に離陸していくタキガワ大尉のF-15Cと、セントラルバース行きのC-130。

俺とフランクリンが本格的にコンビを組んだ初めての戦いも、傍らにはC-130の姿があった。
戦術輸送機C-130。
俺達よりも頑張っている

『パイソン離陸。
アーマナイト隊。
滑走路への侵入を許可する』

管制の声に促されるまま誘導路から滑走路に入り、エンジン出力を徐々に上げていく。
ラプターの鼓動を感じながら

『アーマナイト隊。
離陸を許可する。
順次離陸せよ』

エンジン出力を一気に上げれば、機体も一気に動き始める。
ラプターのSSS

ステルス
短距離離着陸
スーパークルーズ

この三拍子はダテでは無い。

滑走を始めて幾らも経たぬ内に機体を浮き上がらせ、タッチアンドゴーの要領で一気に上昇をかける。
機体にブレも無い。
余裕だ

『高度制限解除。
アーマナイト・ワン。
アルヴァ一同より武運を。
戦果に期待している』

「ありがとうアルヴァ・タワー。
アルヴァと周辺都市の防衛。
ミッチャー司令に宜しくと伝えてくれ」

『アルヴァ・タワー了解。
いい旅を』

次々と離陸する三機のラプターと、誘導路の端から手を振り続ける訓練生と教官達。
そして前方を飛ぶイーグルとC-130。


俺達はアルヴァを後にし、セントラルバースへと向かう。
新米達を乗せたC-130と共に。
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