ACE COMBAT 〜DOG OF WAR〜
□ケーニッヒ
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「なんだコリャァ…?
グッチャグチャじゃねえか!」
基地司令部内の惨状を見たフランクリンが、思わず叫び声を上げる
「コレは…
司令部棟って感じじゃないな…」
建築資材と鋼材が至る所に散在し、セメントの袋や煉瓦も放置されたままだ。
コレでは躓くのも無理は無い…
とりあえず衛兵に案内を頼み、俺達は司令部棟の奥深くに向かう
「ご苦労さん」
歩き出してすぐの角で、タキガワ大尉と三人の新米達に出くわした。
四人もヘルメットを抱えて、耐Gスーツ姿のままだ
「お疲れ様です。
いよいよ三人も実戦ですね」
三人が敬礼してくる。
まだあどけなさが残る三人の中には、見覚えのある顔が二つある。
一人はロウェイン。
そして、もう一人はあのエタンダールだった
「頑張れよリョウ。
ヤバくなったら大尉の後ろに逃げときゃ大丈夫だからな」
フランクリンの言葉に、短い返事で答えるエタンダール
「コイツらは背中を任せれる奴だって期待してるからな。
フジイとマツカサは、俺と同じ東洋系ってのも気に入ってる。
ロウェインとは違った強みもあるしな」
エタンダールことリョウ・マツカサ少尉を、期待の眼差しで見るタキガワ大尉は、やっぱり少年の様な笑みを浮かべている。
ロウェインは相変わらずの表情で、自信溢れる新米少尉を体現していた
「今回の作戦も、ちっとばかし厄介だ。
俺達は護衛艦に対しての攻撃を命じられた」
ロウェインが持った書類の束を指差し、タキガワ大尉は意味ありげにニッと笑ってみせた
「多分、アンタらは上空制圧だろう。
戦果に期待してるぜ」
タキガワ大尉が背筋を伸ばし敬礼すると同時に、新米三人組も大尉に倣う。
そんな四人に、俺達も一斉に敬礼を返す
「じゃ俺達は先に失礼する。
また後でな」
「はい。
後ほど」
そのままタキガワ大尉達と別れ、ダンボールと木箱が積まれた角を曲がり、俺達は司令部内を奥へ奥へと進んでいく。
今更だが、本当にゴチャゴチャした司令部だ……
気がつけば、だんだんと擦れ違う将校達の数も増え、司令部に近付いて来た気もする
「では大尉。
この奥が中枢です。
自分はコレで」
「ありがとう」
敬礼を残して持ち場に戻る衛兵を見送り、俺達はさっそく司令部中枢区間に歩を進めた。
この辺りは片付いてるが、見渡せばダンボールや木箱を抱えた将校達が歩き回り、それぞれの部屋を忙しそうに出入りしていた。
さっそく将校が俺達を基地司令の待つ部屋へと案内してくれた。
大小様々な箱を抱えた将校達と擦れ違いながら、何とか基地司令の待つ部屋の前に到着する。
扉の向こうからは沢山の話し声が聞こえて来ていた
「司令。
アーマナイト隊の四名が出頭して参りました」
「入りたまえ」
将校が扉を開き、俺達はその間から室内に入る
「ハルド・ゲルニッツ大尉以下。
アーマナイト隊四名。
出頭致しました」
「ご苦労。
さっそくだが、貴君らはヴェア・ヴォルフ戦闘群と共に、南下中のカレナ艦隊撃滅に向かってもらう。
命令書。
作戦内容は、ここに纏めてある。
14:00時にブリーフィングを行う。
それまで待機。
私からの令達は以上だ」
そういって司令は立ち上がり、書類の束を俺に手渡した。
トールハンマー作戦
書類には、統合参謀本部のスタンプと本作戦名が記されている
「貴君らの活躍は聞いている。
君達の戦いぶりに期待している」
司令と握手を交わし、俺達は敬礼して部屋を後にする。
司令の階級は中将。
統合参謀本部の所属を表す、赤地に二本の黄色線が入った徴証と、肩から垂れ下がった金色の紐。
久しぶりに緊張し、俺はまともに中将と目を合わせる事も出来なかった……