ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□ケーニッヒ
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基地司令部を後にした俺は、そのまま愛機と共にエプロンで羽を休める事にした。
給油や弾薬の補給作業に勤しむ整備兵達が走り回るなか、俺はハンガーの前に置かれたベンチに腰掛ける。

機銃の弾倉内に機関砲弾を給弾する音や、確認や確認を促す整備兵達の声が響き渡り、エプロンに佇む機体の群れを整備する整備兵達。

三つある滑走路のうち、第二滑走路は輸送機などの大型機専用らしく、第二滑走路脇にあるエプロンでは、ヘラクレス・ワンが次々と物資を飲み込んでいた

「飲みますか?」

ペット入りのスポーツドリンクが横から視界に入って来る。
顔を横に向けると、そこにはモニクの微笑みがあった

「ありがとう。
横に座れよ」

すり寄ってくる愛くるしいモニクの温もり。
心地よい風が俺達を駆け抜けていく。
暖かな、本当に心地よい風が

「ハル。
この作戦が終わったら、私達にも休暇が欲しいわね。
私も、アナタのお母様に逢ってみたいの」

そういえば、本当なら今ごろ…


「最近は、カレナも防戦一辺倒になって来たからな。
近いうちに休暇も出るさ。
そうしたら…
そうしたら一緒に飯でも食いに行こう。
君の御両親。
そして俺の母さんと一緒にね」

「一家団欒。
皆で食卓を囲むのも良いわね。
でも私の方も」

ペットボトルのスポーツドリンクを口に含み、そのままモニクに口づけする。
甘えるモニクに口づけしたくなったからだ。
たじろぐモニクの肩を抱き、ゆっくりと口を離した。
やはり唇の温もりが名残惜しい

「ごめん。
つい抑えれなくなってさ」

謝る俺に、モニクは口づけを添えて答えてくれた

「別にいいわよ。
それより。
私の父は軍人だから、ほとんど家には居ないの。
兄と弟も軍人よ。
だから私の方も、母と姉だけになるかもしれないわ。
それでも良い?」



断片的に軍人一家とは聞いて居たが、まさか父・兄・弟の三人で軍人だったとは…
なかなか豪華な家族構成だ

「別に構わないよ。
君のお母さんや姉さんとも話せるんだ。
文句なしさ」

何となく曇っていた顔が晴れたモニクは、俺の腕を掴んだまま顔を見上げて来る

「実はね、父と兄は、今この基地に居るの」

そういって指差した先には、出航準備中のグリーメイア艦隊の姿がある。
モニクの父親と兄は、グリーメイア海軍の軍人らしい

「海軍の軍人なのか…
どの艦に乗ってるんだ?」

「ヴェア・ヴォルフが父の艦で、イージス駆逐艦ハーネルが兄の艦よ。
父は准将で艦長兼任の戦闘群司令。
兄は中佐で独立第一戦隊司令よ。
どう?
ビックリした?」

「あ…うん」

父親は将官でヴェアヴォルフ戦闘群の司令。
兄は佐官で戦隊司令。
見たことの無い階級章ばかりだ。
特に俺は、生まれてこのかた海軍なんて縁が無い。
どっちかが空軍なら話があうかもしれなかったのになぁ…

「弟は陸軍第6機甲師団でエイブラムスの車長をやってるわ。
先週の攻勢で中尉に昇進して、やっと自分の小隊を持てたそうよ。
私の家族はこんな感じ」

ブリュワーズ家は陸海空軍に士官を輩出している、本当に筋がね入りの軍人一家らしい。
そして長たる父親は海軍の将官。
たいしたものだ

「この戦争が終わったら、全員集合で食事出来れば良いね」

「えぇ。
ちゃんと略章を造っておいた甲斐があったわね」
そんなモニクの言葉で、俺達は顔を合わせて笑い出す。
何か分からない事があっても、モニクに聞けば何とかなる。
軍人一家の娘ならではだ

「お熱い事で…」

とっさに声の方に顔を向けると、そこにはヘルメットを掴んだフランクリンが立っていた。


なんでコイツはいつも良い所に割って入って来るんだ…?
エスパーか?
エスパーじゃなければ、いつも俺達を監視してるに違いない。
ストーカーめ…!
いつかMPに突き出してやる!


心の中で様々な事を言いまくり、とりあえずスポーツドリンクを飲み干す

「まぁ良いや。
ベルテ少佐が呼んでるぜ?」

「あいよ…
じゃあ行って来る」

名残惜しいがモニクの頬に口づけし、仕方なくベンチから立ち上がる

「行こう」

フランクリンと共に、F-35C目指して歩き出す。
幸せな時間は終わりらしい……
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