ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□アリアナ沖海戦
(前編)
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「敵機!
残り1!
ミサイル!
更に接近!
まもなく目視距離です!」

「Mk.45発射用意。
敵機に集中。
必ず仕留めろ。
CICよりブリッジ。
副長」

『はっ!
回避運動始め!
取舵15!
両舷全速!!』

「Mk.45!
目標!
敵戦闘機!
発砲用意!!」

砲術長の声がCICにこだます中、艦は右に回避運動を始め、艦首に位置する127mm単装砲は微調整を行う

「目標!
敵戦闘機!
照準あわせ良し!」

クルーが声をあげ、腕を組んだ砲術長に指示を求める。

砲術長がシモンズ中佐の顔を伺うと、中佐は静かに頷いた

「Mk.45発砲!!」

「Mk.45発砲始め!!」

次々と127mm砲が撃ち出され、吐き出された巨大な空薬夾が、そのまま艦首を打ち付けていく。
直後に四つの爆発光が発生し、ミサイルの残骸は海面に激突。
巨大な水柱が生み出された

「ミサイルの全機撃墜を確認!!」

レーダーから四つの光点が消失し、画面には敵戦闘機の影のみとなる。

撃ち出される127mm砲と、猛スピードで砲弾の雨を突き抜けようとする敵戦闘機。
至近弾も生まれるが、敵戦闘機は躊躇せずに突入してくる。
何せ相手は無人戦闘機。
無人故に、目の前の光景に畏れなど感じないのだ

「CIWS射撃開始!」

20mmファランクスが猛射を始め、127mm弾と20mm弾の雨は、無人戦闘機の周囲を明るく彩る。
火線の中で不安定になる無人戦闘機に、絶えず容赦ない集中砲火が浴びせられる

「ハリス少尉。
ヴェア・ヴォルフに繋いでくれ」

「はっ!」

艦隊直上を突っ切る無人戦闘機に更なる集中砲火が浴びせられるなか、シモンズ中佐はヴェア・ヴォルフに通信を行う。
ヴェア・ヴォルフからは、再びF/A-18EとF-35Cが発進して行く

『こちらヴェア・ヴォルフ。
マーティンだ。
どうした中佐?』

「閣下。
敵の第二波が到達する前に、艦載機の発進を完了させて下さい。
敵は必ず第二波を送って来る筈です」


敵戦闘機が艦隊直上で爆散し、残骸や破片が海面に叩き付けられた。
墜落した海面から海水が吹き上げられ、真っ青だった海面がオイルと白波が広がっていく

『すまないな中佐。
あと4機で射出は完了だ。
発進した艦載機は、随時カレナ艦隊に向かわせている。
頼りにしているぞ?』

「はっ。
お任せ下さい閣下」

ヴェア・ヴォルフとの通信は途切れ、変わりにクルーの一人が叫び声を上げる

「ケーニッヒボルン発砲ぉっ!!
主砲弾確認!!
急速接近中です!!」

シモンズ中佐は舌打ちし、ブリッジ直通のインカムに向けて声を荒げた

「副長!
回避運動急げ!!」

だが、シモンズ中佐の声が艦を動かす事は無かった。
直後に500mm砲が艦を直撃し、主砲弾はあっと言う間に装甲を貫徹。
艦内部で大爆発を起こしたのだ。

着弾時の衝撃で艦首を持ち上げたレイクウッドは、そのまま虚空で火災を起こして大爆発。
艦体は真っ二つに別れ、勢い良く水しぶきをあげて着水。

海面に流出した軽油に引火し、真っ二つのレイクウッドは、そのまま地獄の業火に灼かれていく。

レイクウッドの護衛に回っていたフリゲートが、乗組員達の救助に乗り出すが、燃え盛る軽油の炎と煙が辺りを包み込み、とても近付くどころの騒ぎでは無い。

ヴェア・ヴォルフを肇とした艦隊は全体が回避運動を始め、幾筋もの航跡が交錯し、上空からは戦闘機の翼跡にも見えた

『グラオ・ワンより攻撃隊各員へ!
これより敵艦を突く!
全機突入を開始せよ!!』

『アーマナイト・ワンより全機!
これよりグラオ隊以下攻撃隊の援護に回る!
目標!
敵艦隊直掩機!
全て叩き落とすぞ!!』

爆発炎上を続けるレイクウッドの直上を、戦闘機の大群が最大速で駆け抜けていく。
黒煙は彼等に掻き乱され、真っ赤な炎は、吹きすさぶ旋風を前に、はかなく揺らぐ。


彼等の目的はただ一つ。
彼女を葬り去った戦鬼。
ケーニッヒボルンを海中に没せしむ。


それだけである…
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