ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□決意
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同日

15:00


大型の四発旅客機であるB747ー400D型2機と、その周囲を固めるグリペンCとミラージュ2000ー5の大編隊。
垂直尾翼を深紅に染め上げたスプリッター迷彩のミラージュ達は、ガルグレーのグリペンC達と共に綺麗な編隊を保っている

『シュナイダー。
ゲオルグ空軍基地から迎撃が上がったそうだ』

『ゲオルグは大公派じゃなかったのか…?』

ミラージュの編隊がざわつく中、グリペンCの編隊を率いる指揮官。
マルクス・シュナイダー少佐は落ち着いていた

「ゲオルグの航空団は、殆どが俺の元部下達だ。
クーデターに参加する前に根回しもした。
ハーメル派には迎撃という名目で上がった可能性もある。
問題は南方軍集団の最前線拠点。
クワンティ基地所属の親衛隊航空戦力だ。
クワンティは人民党員の巣窟だからな…
各機。
南部からの迎撃に備えろ」

旅客機の周囲を固める24機の戦闘機達は、先導役の4機を残して一斉に散開。
左翼側。
つまり南部からの攻撃に備える

『12時!
真正面に敵性反応!』

『方位からすれば、ゲオルグの部隊が届いたらしいな』


レーダー画面には四機の機影が映り込み、それらは一直線でこちらに向かって来る。
ゲオルグ空軍基地の所属機であっても、自分達の迎撃に上がった場合、それは敵でしかない。
だが味方として合流するつもりなら話は別だ。
既に二回の迎撃を撃退して来た面々に、余裕の表情を浮かべる者など居ない。
敵か味方か。
それを見極めるまでは油断は出来ない

「レッドナイツ隊は俺達の後ろを固めてくれ。
フォッシュ。
撃たれるまで決して撃つな」

『撃たれるまで撃つな。
了解』

シュナイダー少佐機が先導役のリーダー機。
フォッシュ・バネット大尉機の横に翼を並べる


『今のところ後方に敵影は無い。
ドレイクリーダー。
前を任せるぞ』

レッドナイツ隊の指揮官であるシュルツ・フォン・フランドル少佐は、カレナ軍人でありカレナ公国貴族院議長バルド侯爵の息子。
自身も伯爵の爵位を持つ貴族である


「ドレイク・リーダーより各機。
独裁の手先供が迎撃機を上げたという情報は、今のところ入っていない。
これより前方の航空部隊を説得。
上手く行けば味方が増えるかもしれない。
各機。
攻撃を受けるまで一切の発砲を禁ずる」

グリペンCが横一線に編隊を組み直し、ミラージュがそれぞれの後ろを固める

『シュナイダー少佐。
聞こえますか?
こちらカレナ公国空軍。
第3戦闘航空団。
第13戦闘飛行隊および第26戦闘飛行隊。
私は当編隊指揮官のヘレナ・ビルシュタイン大尉です。
我々は間も無く目視距離に入ります。
我々は敵ではありません。
発砲しないで下さい』

「了解だヴュルガー。
モズは我々の側に羽ばたいたか…
歓迎するぞ大尉。
久々に見るが、皆も腕は衰えていない様だな」

レーダー上では四機だったが、それは超至近距離に三機が纏まり、レーダーを誤魔化していたに過ぎなかった。
上下の高度差をギリギリまで縮め、くしゃみや咳でもしたら大惨事になりかねない状態で、こちらに接近して来ていた彼ら。
やはり腕は折り紙付きだ


『シュナイダー少佐。
我々もカレナ大公の側に付きます。
私達が最初に忠誠を誓った相手は、カレナ大公フェルディナンド六世とカレナ公国であって、独裁者ハーメルではありませんからね』

『自分もです。
カレナ空軍は…
我々ゲオルグ戦闘航空団は、時代が変わろうとも常にカレナ大公と共にありました。
造反者や裏切り者と言われ様とも、我々軍人には軍人の意地があります。
それに、これ以上あの独裁者に戦友を殺されるのは御免です』

12機のグリペンCが旅客機の上下を猛スピードで通過し、編隊の後方で一斉に散開。
後方を固める

『ゲオルグ基地司令マンシュタイン閣下も、我は常にカレナ大公と共にあると申しております。
ゲオルグ空軍基地には、既に陸軍部隊も含めた大規模な反体制派部隊が集結しつつあり、旅客機の受け入れ態勢も整っています』

やはりゲオルグ空軍基地は我々の側に付いた。
クーデターが失敗した場合の保険にと根回ししていたのが吉と出た。
情報漏洩の危険を犯してまでゲオルグ基地司令に直談判しておいて間違いは無かったのだ。
彼らは期待を裏切らず、絶望の中に輝く小さな希望の光となってくれた。
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