ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□目的と真意
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一見すると軍人ヤクザなフランドル少佐だが、笑った顔は柔和な兄貴といった感じだ

「コイツはマルクス・シュナイダー少佐。
ドレイクリーダーだ」

フランドル少佐が指差しながら紹介してくれたのは、グリペン乗り達を統率していた指揮官。
ドレイクリーダーだった

「さっきは世話になった。
一応こう見えても彼と同じ伯爵。
私も、れっきとしたカレナの貴族さ。
宜しく」

差し伸べて来た手を握り返し、ドレイクリーダーの顔を見る。
赤毛が似合うイケメン将校。
ビルシュタイン大尉に負けず劣らず、そうとうモテそうなタイプだ

「ハルド・ゲルニッツ少佐です。
こちらこそ宜しく」

貴族らしく高貴な感じのシュナイダー少佐と、ヤクザな感じのフランドル少佐。
貴族にも色々とあるらしい

「間も無く大公陛下によるテレビ演説が始まる予定だ。
すまないが、そこのテレビをつけても良いかな?」

シュナイダー少佐が大きな液晶テレビを指差し、俺達に同意を求める。

本来なら俺達は余所者。
拒否権など無い筈だが、その辺りに彼の人柄が表れている気がする。
この人は間違えても悪い人では無い様だ。

俺がシュナイダー少佐にリモコンを渡すと、ヤクザがリモコンを奪い取る。

この人はもしかしたら悪い人かもしれない

『南部地域に於ける大虐殺!
これはグリーメイア軍による、非道な行いの中の一つに過ぎない!
しかし我々カレナ人民党は、必ず我が祖国カレナを守り抜く!
憎きグリーメイアと、その非道な国に肩入れするオーシアとユークトバニアは、グリーメイアに負けず劣らずの非人道的国家そのものだ!
我々の生存をかけた大事な一戦!
その一戦を必ずや戦い抜き!
我々は必ずや勝利せねばならん!
それが我が祖国カレナにとっ……』

画面下に表示された消音という文字。
俺が後ろに振り向くと、そこには明らかな怒りを浮かべたフランドル少佐の顔があった


「なぜ皆あのペテン師の本質に気付かないんだ…
なぜだ…!」

シュナイダー少佐の顔は悲しみをたたえ、ビルシュタイン大尉は画面を睨み付けていた。

どうやらテレビ画面を占領している彼。
彼が独裁者ハーメル首相らしい

「彼が…
ハーメルがまだ一野党の党首だった時代。
あの時に彼を政界から追放していれば、今回の戦争は回避出来たかもしれない…
良く見ておいて。
彼が私達の国を滅ぼす張本人よ」

ビルシュタイン大尉は画面に怒りの目を向けながら、俺に向けてそう呟いた。
画面の向こうで演説を続けるハーメル首相は、手を握り、テーブルを叩きつけ、今度は手をかざして民衆に訴えかける。
黒い軍服に身を包み、襟元に光る大きな銀の十字勲章や、腕に巻かれた赤い飾り紐を揺らしながら、大きな口をいっぱいに開いて演説する独裁者の姿に、ただただ俺達は圧倒される。
ハーメル首相の堂々たる振る舞いは、まさに権力者と呼ぶに相応しい。

そう思える程に、彼は威風堂々と演説を行い、民衆に向けて様々な事を訴え続けているのだろう。
消音されている為に彼の演説は聞けないが、テレビが彼の独壇場である事だけは確かだ

「あと五秒…
…三…二…一…」

シュナイダー少佐がゼロと言うのと同時に、テレビ画面が真っ暗になり、切り替わった画面を見たことのない老人が占領する。
まさかの放送事故?
そう思った次の瞬間だ。
フランドル少佐がリモコンを操作し、テレビに音声が蘇る。
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